【注目】新たなゴールドラッシュとなるか?北海道「静狩金山」跡地で海外企業が調査計画 地元からは期待と不安の声
いま、北海道にある金山跡地でオーストラリア企業による「試掘調査計画」が進んでいます。この計画に地元住民からは期待の声があがる一方で不安の声も…。 【写真12枚】新たなゴールドラッシュとなるか?北海道「静狩金山」跡地で海外企業が調査計画 解説 日本で新たなゴールドラッシュは起こるのでしょうか? 日本貴金属マーケット協会代表理事で貴金属スペシャリストの池水雄一さんとともに解説します。
「まだまだ上がる」金の価格
いま、金は人気で販売価格は高水準をたどっています。 2024年9月20時点では金1gあたり1万3105円。 ――金の値段は今後も価格を維持していくのでしょうか? 貴金属スペシャリスト 池水雄一氏: まだまだ上がるとみられています。きょう(9月24日)は1万3300円台になっていますね。 ――どうしてこんなに価格が上がっているのでしょうか? いま、世界の情勢が昔のアメリカ一極、アメリカの経済が全てを支えていた時代からだいぶ変わってきている。アメリカドルを持っていることは例えば中国やロシアにとってはリスクがあるわけです。そういった国々がドルを売って金を買っているという状況がずっと続いていまして。これは今後もずっと続いていくと思っています。そうすると金の価格はもっと上がっていくと思います。
新たなゴールドラッシュの可能性も?
金は採掘することにより入手できる限られた資産ですが、日本にも新たなゴールドラッシュへの期待が出てきました。 日本で有名な金山は「佐渡金山(新潟県)」「鴻之舞鉱山(北海道)」「尾去沢鉱山(秋田県)」「高玉金山(福島県)」「鯛生金山(大分県)」「菱刈鉱山(鹿児島県)」などがありますが、現役で今も稼働しているのは菱刈鉱山だけです。 そしていま注目されているのが、北海道にある、札幌から車で約3時間、長万部町と黒松内町にまたがる広大な山林地帯の「静狩金山」です。 2024年2月、この跡地の「試掘権」をオーストラリア企業の子会社「JapeX」が取得、金があるかどうかの調査に動きだそうとしています。 「試掘権」の有効期限は2年、最長6年まで延長が可能。ドローンなどを使って航空および地表からデータを収集した上で地中を掘るボーリング調査を行うことができます。 その上で、鉱量などを確認し採算性があった場合実際に金を掘る「採掘権」を申請する流れになっています。 ではなぜ、この場所を選んだのでしょうか? 試掘権を取得したJapeX担当者によると、「静狩金山は戦時中、政府から強制的に閉山させられており、まだ有望な鉱脈が残っている可能性がある」ということです。 ――一度閉山された金山ですが、まだ金が出る可能性はある? 貴金属スペシャリスト 池水雄一氏: 基本的には枯渇しているんですね。ただし今、金の価格がすごく上がってきています。当時は価格帯で考えると採算が合わなかったが、ひょっとしたら今だったら採算が合うんじゃないかと新たに調査する動きは起こっていますね。だから可能性ゼロとは言えないと思います。ゼロとは言えないですが、そんなにたくさんはないと思います。 この試掘調査計画に、地元、長万部町からは町が再び賑わうことを期待する声が上がっています。 約60年以上続く丸金旅館 角健代表: 今まさに金っていうのは世界的に注目を浴びてますので、(金に)関わる長万部町になってくれれば、大変な目玉になると思います。 若い人たちが金を求めてね、長万部に来ていただけるようなツアーでもできると大歓迎だと思います。 その一方で、環境への影響を懸念する声もあがっています。 約4年前から黒松内町で牧場を営む女性は、金の採掘によって農業に欠かせない水に影響がでるのではと心配しています。 牧場の代用者: 牛も生活できなくなりますし、私たちが生活用水で使っている水を牛たちも飲んでいますので、水がダメになったらここの命は絶えますね。 採掘調査エリア近くを流れる、道内有数の清流・朱太川。ここでも水質を懸念する声が上がっていました。 朱太川漁業協同組合 安田研二理事長: とにかくこの朱太川は汚染されたら終わりだから。うちの漁協も成り立たないし。 期待や不安の声にJapeXの担当者は「黒松内町が朱太川を始め自然環境豊かであることを認識している。ただ、当社の探鉱事業は現環境を変えず調査するだけのものであって、その点を丁寧にご説明したい。我々の事業をさらに進めるためには、地域との信頼関係と透明性の確立が必要と考えている」とコメント。 住民説明会を7月に黒松内町で実施し、そこで出た質問や指摘を踏まえて次回の説明に向け準備中とのことです。