発達障害がある人に「誤解なく」伝えるための言い方・接し方…手順を分けて、具体化する。
なにごとも口頭で言葉にしただけでは伝わらないことがある。耳から入る情報を取りこぼしたり誤解したりしがちな、発達障害っぽい特性がある「あの人」に話しかけるときは、とくに注意が必要だ。どうすれば特性がある人にうまく伝えることができるのか。漫画家・野波ツナさんが、自閉スペクトラム症の夫との生活のなかで見つけた「戦略」を紹介しよう。 【画像】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待「すべてが壊れた日」 前編記事〈連絡も返信も一切なし…そんな“自己チュー”ASD夫に、いちいちイライラせずに済む「伝え方の工夫」〉より続く。
大切なのは「具体性」
具体的な言葉で伝えるのも大切なポイントです。実は私たちは、無意識のうちに抽象的な、「あの人」にはピンとこない言葉をけっこう使っています。「ちゃんとして」「よろしくね」「片付けて」……こういった言葉だけでは、言う側が完成形のイメージをしっかり持っていても、言われる「あの人」の側にそれは伝わりません。 「ちゃんと」するとは、何をどうしたらいいのか。自分では「ちゃんと」してるのに。 「よろしく」とは、どうやることなのか。よくわからない。 「片付けて」は、自分としては片付けたつもりなんだけど。 ……と、きっとそういうふうに「あの人」は思うでしょう。 アキラさんがそうでした。私が「掃除して」と頼むと、彼は掃除機を持って来て、物をグイグイ押しのけながら掃除機をかけるのです。それが彼にとっての「掃除」、だったのですが、以前の私はそこまで考えることができませんでした。 だから「掃除してって言ったよね?」「全然やってないじゃない!」とつい感情的になって、また同じ言葉で要望していました。 するとアキラさんは、〈ちゃんとやったのに怒られた〉と感じます。結果、お互い不愉快になって雰囲気も険悪になる……という悪循環になっていましたが、そんなふうに険悪になるのを避けるには、何を・どういう手順で進めれば掃除したことになるのか、具体的に挙げる必要があります。たとえば、 ・段ボールをたたむ ・新聞や雑誌を縛って積んでおく ・床に置いてある本を棚に入れる など、具体的に文字でリストアップするといいと思います。大切なのは、1つずつの要素に細かく分解して伝えることです。