セシールのEC立ち上げなどに携わった大西氏が語る市況感+EC人材が成長するための行動&組織作りとは?
EC業界で活躍する「人」にフォーカスし、企業や団体などで活躍する個人の功績や取り組みを表彰する「ネットショップ担当者アワード」。その選考委員を務める大西理氏は、通販企業として初めて売上2000億円を突破したセシールのECサイト立ち上げなど、カタログ通販全盛期から通販・ECビジネスに携わってきた。現在は、BtoC、BtoBにかかわらず企業のEC課題やDX、デジタル人材育成など幅広く活動している。その大西氏に、現在のEC業界に対する思い、市況感、EC担当者が成長するためのポイント、選考委員を務める「ネットショップ担当者アワード」についてインタビューした。
「ネットショップ担当者アワード」は、通販・EC事業者向けのメディア「ネットショップ担当者」フォーラムが主催する顕彰です。詳しくはコチラ、または下の画像をクリックしてください!
今の自分を育ててくれたEC業界に恩返ししたい
――大西さんがEC事業に携わるようになったきっかけは。 大西理氏(以下、大西氏):カタログ通販のセシールでは新規事業やマーケティング業務を担当していた。チームでは当時、紙カタログの将来について考えていた。そこで、新たな通販メディアや注文方法の開発を担当していた頃、ちょうどマイクロソフトの「ウィンドウズ」が登場し、家庭にパソコンが普及しはじめたこともあり、インターネットビジネスが始まり、その流れでパソコン通信からECへと向かっていったのがきっかけだと思う。 セシールでは1999年のEC事業立ち上げから卒業する2007年まで、EC業務に関してはありとあらゆることを担当してきた。当時はまだEC事業を始めていたのは通販企業や一部のメーカー、専業のモール事業者などで、小売事業者やアパレルの参入はまだ少なく、お手本と呼べる企業やビジネスパーソンもいなかったので全てが手探り、手作りの時代だ。 ――ECビジネスでどのような経験をしてきたのか。 大西氏:たとえば、メルマガを作って配信したり、コンテンツを開発したり、カスタマーサポートの対応を考えたり、会員制度を作ったり、キャンペーンを毎月企画・実行したり、サービス開発を行ったりと、全体ディレクションから細かいタスク管理、誰もやったことがない業務設計に至るまでEC業務のほぼ全てを経験した(システム開発は除く)。セシールに在籍し、ECに携わっていなければ現在の私は存在していないと思っているし、ECでの経験が、私を一人前のゼネラリストにしてくれ、結果として自分自身のキャリアを救ってくれたと思っている。生きていく道を作ってくれたのがECであり、そのEC業界に恩返しをしたい。 大西氏:セシール退職後は文具メーカーへ転職、マーケティングの責任者を務めた。同時にメーカーとしてのECの在り方、流通・卸との関係のなかでECがどうあるべきかを学ぶことができた。その後は化粧品通販会社での単品通販モデル、小売、アパレルでのECやデジタル、オムニチャネル開発などさまざまな業種業界での経験を積んだ。 通販、メーカー、卸、小売り、SPA(製造小売業)での経験をしているような者は少ないかもしれない。そのおかげか、現在も幅広いクライアントの案件に携わらせていただいている。 ――ECで特に得意とされている分野は。 大西氏:「これが飛び抜けて得意」というものはなく、どの分野でも広く目が利くと自負している。これまでの経験から、取扱商品ごとに留意すべき点などは一通り頭に入っている。いろんなタイプの企業で現場からマネジメントまで経験しているため、組織課題や人材育成についても相談をいただくことがある。