兵庫県知事選挙は混迷のまま終盤戦へ…首長支援固める稲村和美氏、Xフォロワー倍増の斎藤元彦氏
17日投開票の兵庫県知事選は終盤戦に入り、候補者による舌戦が熱を帯びている。読売新聞が今月7~9日に実施した世論調査では、新人で前同県尼崎市長の稲村和美氏を前知事の斎藤元彦氏が追う展開となっている。候補者はそれぞれの戦略で、投票日まで支持の拡大を目指している。 【一覧】一目でわかる…兵庫県知事選、各政党の支援・推薦などの構図
「政党の支持がない中、組織票に勝つためには、みなさんの力が必要です」。斎藤氏は12日午後、同県加東市での街頭演説で声を張り上げた。会場では数百人の聴衆が斎藤氏を囲み、演説をスマートフォンで撮影していた。
斎藤氏の陣営では無党派層を取り込むため、SNSを積極的に活用している。街頭での活動を地道にX(旧ツイッター)に投稿。フォロワー数は知事を失職した直後の9月末(約7万人)から倍以上の約16万人となった。街頭演説を行うたびに大勢の人が集まり、写真や動画を自身のSNSに投稿する人もいる。陣営関係者は「最後まで力を抜かず、さらに支援の輪を広げたい」と話す。
「空中戦」ばかりではない。斎藤氏が9日に芦屋市内で行った街頭演説には、地元の自民市議が応援に駆けつけ、斎藤氏が支持者と握手したり、写真撮影したりするのを案内した。
斎藤氏は9月、自身のパワハラ疑惑などの内部告発問題で、県議会から全会一致で不信任決議を受けて知事を失職した。自民県議団は知事選で、斎藤氏の応援を禁止した上で、自主投票の方針を決定した。
しかし、明石市議らから「自主投票なのに支援を禁じるのは問題」などと異論が出て、県連が斎藤氏の支援を容認。自民は稲村氏、斎藤氏、新人で前参院議員の清水貴之氏の3人に支援先が分かれる事態となった。
斎藤氏の支援に乗り出す市議らが選挙戦が進むにつれて増えており、ある議員は「『次世代への投資』を訴える斎藤氏が政策的に最も近い」と話す。
一方、稲村氏は、県内の首長との連携を深める戦略を取る。12日には明石市内で街頭演説し、「現場の首長と信頼関係が築けていない県政を、このままにしておけない」と力を込めた。