「申し訳ない、のひと言です。ただ...」6試合ベンチ外の長友佑都をそれでも招集した理由【どこよりも早い森保一監督のW杯最終予選6戦総括】
「隙なく、油断なく、堅実に」
──最速での王手、突破がかかった3月に向けてどんな準備を考えていますか? 森保監督「最速かどうかよりも先ずは来年3月からの試合で、(W杯の)出場権を確実に掴み取らなくてはなりません。一戦、一戦、勝利にこだわって、できればW杯出場を早く決めたい。そこから本大会での選手起用だったり、戦術の幅を持たせられるようステップアップしたいのですが、(インターショナルマッチウイーク)に選手を招集できる時間も限られているんですよね。見たい選手は本当に大勢いるんですが...今後の日本サッカーのレベルアップにつながる高く、強い頂点を目指して3月からも戦いたい」 ──本大会でのメンバー編成については何か考えていますか。 森保監督「今選ばれている選手だけではなく、若い選手たちや、代表招集がこれまでなかった選手、代表招集から時間的に遠ざかっている選手たちは自分のチームで存在感を見せまくって欲しいですね。ヨーロッパにいる選手たちは普段、何を、どのポジションでやっているのか、本当に細かく見せてもらっていますし、日本代表の戦術として戦い方に反映していますから」 ──過去の最終予選は、アジア独特の厳しい戦いを乗り越えて、次はW杯でヨーロッパ、南米を相手にどうするか、と2つの違う問題を解いてW杯に臨む感覚でした。今回は少し違うように見えます。 森保監督「例えばサウジアラビア戦で経験した、押し込まれている時間帯はW杯でも絶対的にあり得る状況です。押し込まれても我慢して勝っていく。また、自分たちがボール保持率を高くして試合をする場合もあります。インドネシア戦ではジャッジを想定して、相手のシュートの際には(ハンドを取られないために)皆、腕をしっかり畳んでいましたし、雨の中のスライディングでもイエローを受けないためにとても慎重でした。選手たちは相手との力関係でイケイケにならなかった。アジアだから、とか世界とアジアの違うと考えるよりは、選択肢の違いだと捉えているからです。もし、ブラジルやアルゼンチンがアジアの試合に来たとして、アジアは違うから、と戦い方を変えるかといえば、多分そんなことはしないでしょう」 ──アジアの戦いと世界は違う、と考えるのではなく、どちらも戦い方の選択肢のひとつと。 森保監督「そう言っておきながら、やはりアジアの気候だったり、ジャッジ(審判の判定)、ピッチは独特で別の感じはあります。目の前の局面を戦って、乗り越えて、だけどその先(W杯)もあるんだよと選手と共有しながらやっています」 ──前回の予選中、監督は世界一になるために、とか、世界一を目指してなど世界一というワードは使っていませんでした。突破した後は、まだ見ぬ景色といった表現で史上初のベスト8を掲げましたが、今回はもう世界一と。言葉の選び方に理由はありますか? 森保監督「目の前の一戦一戦に全力で勝利を目指す、と言いながら、世界一を目指して、とも話していますから矛盾していますが、(カタール)W杯で日本は優勝できると思いました。日本代表は2050年までにW杯優勝と掲げています(2050年にW杯を開催し、日本代表は優勝チームとなる=JFA2005年宣言の中の”JFAの約束2050”の一つ)。でももう2050は取っ払っていいんじゃないかなと。優勝を目指すのは当たり前なんで20年以上先よりも、今の目標としての優勝、世界一を目指せばいいんじゃないかと、50年に、ではなくて今のレベルからコツコツ積み上げれば、自分がその時監督かどうかではなくて自然とそこ(優勝)には到達するでしょう。私はコツコツ派なんです。隙なく、油断なく、堅実に。これが私にとって原点というか、この仕事の好きなところです」 取材・文●増島みどり(スポーツライター)
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