嚥下機能の回復を目指すには? うまく噛めない、「ごくん」と飲み込めないとき
Q 「ごくん」と飲み込む練習のしかたは?
うまく「ごくん」と飲み込めないと、食べ残りが咽頭にたまりやすく、誤嚥の危険性も高くなります。口から食べられない、あるいはごくわずかしか食べられない状態の人や、口から食べてはいても、むせやすい、声がしゃがれるなど、飲み込みに問題があると考えられる人は、のどのアイスマッサージをしたあとに「ごくん」と飲み込む練習をしてみましょう。 のどのアイスマッサージの目的は、嚥下反射が起こりやすい状態をつくることです。口の中やのどにそっと静かに冷たい刺激を与えると、「ごくん」と飲み込む動作をしやすくなります。 のどのアイスマッサージに使うのは「アイス綿棒」です。割り箸を半分に切り、カット綿(7cm×7cm程度)を2つに折って巻きつけます。巻きつけた部分を水につけて軽くしぼり、形を整えながら、ラップを敷いたトレイに並べて冷凍庫で凍らせればアイス綿棒のできあがりです。アイス綿棒は、凍った状態のまま少量の水をつけて使用します。表面を軽くなでるように刺激しましょう。 口の中にたまった唾液や水分を「ごくん」と飲み込むことを空嚥下といいます。空嚥下をするときは口を閉じ、首を軽く下に向けた姿勢をとります。飲み込みを促すために、のど仏からあごの下に向けて、下から上へ軽く皮膚のマッサージするのもよいでしょう。 アイスマッサージをしたあとに「ごくん」、飲み込めたら、もう一度刺激して「ごくん」。5分間くらい、アイスマッサージと空嚥下をくり返すことで、嚥下機能を高めていきます。摂食訓練開始前の基礎訓練としても、安全に食べるための毎日の習慣としても有用です。 第6回【窒息を起こしやすくする「嚥下機能の低下」…誤嚥から身を守る「摂食訓練」で、安全な食べ方をマスター】に続く
藤島 一郎