高級老人ホームで体験したまさかの"天然温泉かけ流し" 温泉地以外で楽しむ温泉の実力は?
湯船はまさに温泉旅館の風情、西鉄運営の11施設で「かけ流し」はココだけ
湯船は3つに分かれていて、デジタル温度計は39.8度、40.1度、40.3度を示していた。湯船はまさに温泉旅館の趣だが、ちょっとだけ違うのは手すりが多めだということ。高齢者向けの施設だから、浴槽への出入り口以外に湯船の中にも手すりが設置してある。金属製の手すりが多くなると空間が味気なくなるのは否めないが、そこは仕方ない。 洗い場では正面・左右両方に手すりがついていて、湯船には非常ボタンもある。何かあった場合にすぐに連絡がいくシステムだ。お湯のよさと機能面、両方を確保しつつ、よいバランスが保たれているように感じた。せっけんのように皮脂や汚れがよく落ちる泉質ながらうるおい感もあって、入浴後は、薄着でいいくらいよく温まった。 西鉄が運営する全11施設の中でもかけ流しの温泉をもつのはここだけである。 掘り進めていくうちに十分な湯量が確保できたことから、「かけ流し」で提供しているが、「万一、湯量や法制度に変化があった場合、柔軟に対応できるよう、循環ろ過するための配管や設備を導入する際に必要となる機械室も備えてはいる」(支配人)というから、状況に応じてお湯の給湯・排水方式は変更できる仕様とのこと。頼もしい話だ。
家庭料理に近い料理がレストランで食べられる
せっかくなので、料理のレポートもしてみたい。朝・昼・晩の食事はレストランで提供される。庭の見える開放的なレストランは、ブラウンを基調にした内装で、やはり高級ホテルのレストランのような趣である。 「非日常」を演出するホテルや旅館と違って、入居者にとって毎日の食事は「日常」だから、メニューは家庭のお母さんが作るような、飽きがこない素朴な味つけ。魚や肉、野菜がバランスよく配されている。この日は生姜焼きで、小鉢には豆腐とごぼうのきんぴらがついていた。朝食は和食と洋食が選べて、和食は魚の煮付けだった。喉に骨が詰まらないよう、サバは骨なしサバが使われている。 メニュー表を見ると赤魚の粕漬け、鯵の煮付け、黄金かれいの煮付け、メバルの塩焼きと魚料理もバラエティに富んでいる。それぞれの居室にはキッチンがあるので自炊する人もいるし、外の飲食店に食べに行く人もいるそうだ。人気は「手作りコロッケ」や「手作りアジフライ」など、手作りの味。五目ちらしやちゃんこ鍋などちょっと変わったメニューや季節のメニューも織り交ぜてある。