バナナは「太くてまっすぐ」が大当たり…フルーツ研究家が教える「バナナの正しい保存方法」
おいしいバナナはどうやって見分けたらいいのか。15年間ご飯、パン、肉、魚などを断ち、実験的にフルーツ中心の食生活を続ける中野瑞樹さんは「太陽に当たっていないバナナほど、日の光を得るために反り返る傾向がある」という――。 【図表】主なフルーツ類のビタミンB6の含有量 ※本稿は、中野瑞樹『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。 ■日本で流通するバナナの大半は「クローン」 バナナは東南アジアの熱帯雨林原産。ニューギニア島では紀元前数千年以上前から栽培が始まったとされる。 日本には江戸時代に沖縄に伝わった。明治に入り台湾からの輸入が始まると、昭和の初めには流通量も増えたが、当時の庶民には高級品だった。 現在、日本で流通するバナナの大半が、世界でも最も栽培されている生食用品種のキャベンディッシュ。種がなく、株分けで増やすため、遺伝子が同じクローン。遺伝子に多様性がないため、病気などによって全滅のリスクがある。 実際、1950年代までは主力品種だったグロス・ミッチェルは、世界的なパナマ病(つる割れ病)の流行によりほぼ壊滅し、現在のキャベンディッシュに置き換わった。 ■バナナのラベルが外側に貼られているお店は良店 日本で流通するバナナの大半がフィリピン産で、次いで多いのがエクアドル産。日本ではほぼ全て生食用だが、世界では調理用品種も多い。近年では、糖度の高い高地栽培バナナの生産量が増えている。 沖縄や鹿児島では、三尺(さんじゃく)バナナや小ぶりの島バナナがつくられている。 バナナを普通に置くと、バナナの重みで下(弧状の外側)のほうが傷みやすい。 そのため、袋のラベルを弧状の外側に貼って、接地面が小さくなる向きでバナナを置いているお店は、気遣いの行き届いた良店といえる。
■甘いバナナの選び方 ①細長いものより、短くても太いもの ②まっすぐなもの バナナは何層にも実ができる。太陽に当たりづらい位置にあるバナナの実は太陽に当たろうとして反り返る。一方で、もとから日光によく当たる位置のバナナの実はまっすぐなものが多く、甘みも強い傾向がある。 ③甘み重視なら、割高でも高地栽培バナナがオススメ 高地では寒暖差があるため、低地よりも多くの糖質(デンプン)を蓄積できるため。 バナナは追熟フルーツなので、青い状態のバナナはデンプン(糖に分解される前の状態)が多く甘みが少ない。追熟すると果皮に現れるシュガースポット(黒い斑点)は、デンプンが糖に分解されて甘くなったサイン。 ■バナナは内側を下向きに置くのが正しい ①常温保存 先述したように、バナナ自身の重みで果肉が傷むので、内側を下向きに置くか、バナナスタンドを使う。下向きに置くには、丸めて枕型にした新聞紙などの上に置くか、スチールラックの上に置くなどすればよい。 ②冷蔵保存 クラウンからエチレンが出て追熟が進むので、日持ちさせたい場合はクラウンをアルミホイルなどでくるむのがオススメ。 さらに、全体をラップに包んで冷蔵保存すると、夏場でも数日以上保存可能。