バナナは「太くてまっすぐ」が大当たり…フルーツ研究家が教える「バナナの正しい保存方法」
■「バナナアレルギー」は全フルーツ中2番目に多い 2017年の全国調査では、バナナは即時型フルーツアレルギーの原因として2番目に多い。 また2018年に発表された、愛知県の病院での患者調査では、小児のフルーツアレルギーとしても、キウイ・メロンに次いで、バナナが3番目に多い。バナナアレルギーを発症した65%が乳児期であり、蕁麻疹(じんましん)などの全身症状が出る確率はバナナが最も高かった。 ラテックス(天然ゴム)アレルギーの人は、高確率でバナナアレルギーを発症する。 またブタクサ花粉にアレルギーのある人は、そうでない人に比べると、口腔(こうくう)アレルギー症候群(口や喉(のど)のイガイガ)を発症しやすい。スムージーや加熱してバナナを食べるとアレルギー症状が出ない人もいる。ただし、すべての人に当てはまるわけではないので注意。 ■皮をむいて食べれば残留農薬のリスクはさらに低い 公的な残留農薬検査は、バナナは洗わずに、果柄を除いて、果皮ごとおこなわれる。国の残留農薬統計(2009~18年度)によれば、延べ検査農薬成分数は71万。そのうち残留農薬基準を超過したのはすべて輸入バナナで、延べ23成分。 ただし、いずれも安全基準を脅かすものはなく、毒性学的には問題がなかった。一般にバナナは皮をむいて食べるので、さらに安全度が高い。 国の食中毒統計によれば、過去10年(2013~22年)、1万件余り発生した食中毒のうち、バナナが食中毒の原因とされた事例は、2017年、保育所給食で提供された食事(キャベツの酢の物、バナナ)の1件だけだった。 食品成分表の標準廃棄率(果皮、果柄)は40%である。総務省の統計によれば、バナナは16種の生フルーツの中で、可食部コスパ(2018~22年の全国平均)が最もよく、100gあたり46円。普通サイズのバナナの可食部が100g程度なので、1本あたり税込み100円以下なら良コスパ。 過熟して食味の落ちたバナナは、果肉だけをラップに包んで冷凍すればおいしい。子どものおやつにも最適。 〈引用参考文献〉 ・バナナ大学/日本バナナ輸入組合Webサイト ・ローナ・ピアッティ=ファーネル著、大山晶訳/バナナの歴史/原書房 ・日本食品標準成分表2020/文部科学省 ・食品成分表2022/女子栄養大学出版 ・日本人の食事摂取基準2020年版/第一出版 ・国民健康・栄養調査報告2019/厚生労働省Webサイト ・第11回日本機能性食品医用学会総会研究報告,2013/つくば大学ら ・New Diet Therapy Vol.37(3) 3-10, 2021 ・BMJ. 2013; 347: f5001. ・アレルギー Vol.69(8) 701-705, 2020 ・アレルギー Vol.67(2) 129-138, 2018 ・小売物価統計/総務省Webサイト ---------- 中野 瑞樹(なかの・みずき) フルーツ研究家、毎日フルーツ200g推進協会代表 1976年和歌山県生まれ。京都大学卒(農学修士)。元東京大学教員(工学部)。元アメリカ国立海洋大気局 客員研究員。学生時代は沙漠緑化の研究に従事。2003年にフルーツのもつ魅力に目覚め、消費啓発活動を始める。「甘いから食べ過ぎに注意!」と言われるフルーツの体への影響を調べるため、2009年9月から実験的に、水もお茶も摂らない「フルーツ中心にほぼ果実だけの食生活」を続ける。「マツコの知らない世界」など、テレビ出演多数。著書に『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)。 ----------
フルーツ研究家、毎日フルーツ200g推進協会代表 中野 瑞樹