免許返納後も運転つづける高齢男性、ご近所さんは恐怖「通報した方がいいんでしょうか?」
「近所に住む高齢男性が、免許返納後も運転をやめません」 そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。 75歳以上の高齢者は、運転免許を更新する際、認知機能検査が義務付けられています。相談者によると、近所の高齢男性も免許更新時に認知機能検査を受けたところ、認知症の疑いがあるとのことで、病院で検査したそうです。 結果は、軽度の認知機能障害と診断され、免許を返納することになったといいます。しかし、高齢男性は、その後も運転を続け、買い物に行ったりしているそうです。 高齢男性は一人暮らしで、家族とも疎遠になっているとのことで、自治体の福祉関係者がやめるよう言ったり、この高齢者とご近所づきあいのある相談者も、「免許を返納したら運転はできないよ」と説明しているのですが、本人は運転をやめる気がありません。 相談者は警察に通報した方がいいのか悩んでいるそうです。無免許運転を知ってしまった場合、通報義務はあるのでしょうか。加藤孔明弁護士に聞きました。
●知っていながら放置は「無免許運転幇助罪」になる?
――相談者は「無免許運転」とは別に、「無免許運転幇助」という刑罰があることを知り、自分がその罪に問われる可能性がないか心配しているとのことです。無免許運転幇助とはどのような罪なのでしょうか。また、相談者に法的責任が問われる可能性はありますか。 無免許運転幇助罪は、道路交通法64条2項で、無免許運転をするおそれのある人物に対して車両の提供をした場合に成立する犯罪です。 法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。今回の相談者が自動車を提供した場合であれば同罪に問われる可能性もありますが、単に無免許であることを知っているだけであれば法的責任を問われることはありません。 ――相談者はすでに自治体の福祉関係にも相談していますが、止めることができませんでした。このような孤立している高齢ドライバーにどう対応すれば良いのでしょうか。 単なるご近所さんであるなら、関わらないという方法でもよいかと思います。あくまで可能であるようなら、高齢男性が車を運転できないように物理的な手段(車を処分するなど)をとることも選択肢としてはあるかと思います。