アメリカ大統領選挙直後のFOMC、市場は0・25%利下げを確実視
【ワシントン=田中宏幸】米連邦準備制度理事会(FRB)は6~7日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。5日に行われる米大統領選の直後の開催で、民主党、共和党のどちらが優勢か判明していない可能性もあるが、市場は0・25%の利下げを確実視している。 【グラフ】米政策金利の推移
米労働省が1日に発表した10月の雇用統計は急減速した。非農業部門の就業者数は前月比1・2万人増と、9月から伸びが大きく減速し、市場予想(10・8万人増)を大幅に下回った。
米南部を襲ったハリケーンや、米航空機大手ボーイングのストライキが影響した一時的な減速との見方が多いが、8~9月の就業者数も遡って下方修正されるなど、雇用の勢いが減速傾向にあるのは確かだ。
FRBは9月の会合で、雇用下支えのため、政策金利を通常の倍にあたる0・5%引き下げた。同時に示したFOMC参加者の経済見通しでは11、12月の会合で計0・5%の追加利下げを行うとの想定を示した。
市場関係者の見通しを反映する米シカゴ・マーカンタイル取引所の予想データによると、FRBが11月の会合で0・25%利下げすると見込む投資家は、1日夜時点で98・9%にのぼる。雇用市場の変調が、FRBの利下げ判断を後押しするとの意見が大勢を占めた。
ただ、大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利した場合、FRBの今後の金融政策が大きく制約される恐れがある。トランプ氏が掲げる高関税政策や大規模減税は、インフレ圧力を再び強める恐れがある。またトランプ氏は「FRBの金融政策に大統領が発言権を持つべきだ」と述べ、独立性を低下させる考えも表明している。