「今年も紅白に“旧ジャニーズ”は出ない」それが“テレビ崩壊”の始まりを意味するワケ
「ジャニーさんが一番大事にしてきたステージや舞台に、エンターテインメントが詰まってたんやなっていうのをすごく感じる。何もないところに、自分たちだけの責任で作るっていうやつだから※7」 何もないところに自分たちだけの責任で作る。それを彼らはステージや舞台という形でずっとやってきていたのである。その先に、自分たちの手で新しいプラットフォームを作るという村上の理想も決して絵空事ではないはずだ。 ちなみにこの村上の発言は、コロナ禍で活動が制限された日々を振り返った上で出たものである。自分たちではどうにもならない事情で、他のメディアと組めなくなったとき――。その点では、性加害報道直後の状況と重なるものがある。
記者会見後のバッシング報道の最中、CMやテレビ出演が減少しても、自前のコンサートや舞台は行われ、変わらず盛況だった。バッシングの反動か、現場ではファンの熱狂や開催されること自体への感謝が強まっているようにも感じて「CM契約やテレビ出演が減少してジャニーズはピンチ」といった世間の言説とのギャップに拍子抜けするほどだった。 新会社の社名発表の日には、独自の音楽プラットフォームを作る方針も同時に発表された。
今後、仮にテレビ出演やCM出演が少なくなったとして、ジャニーズらしさが消えてしまうかといえば答えはNOだろう。むしろ、自前でやることが増えることで、彼ららしさや、やりたいことがより色濃く表現できるようになる可能性のほうが高い。この大きなリセットのタイミングこそ、色々なプラットフォームを自前で作ってしまうときなのかもしれない。 ■他のメディアを必要としない未来 そしてそれが成功したとき、もう彼らがテレビ局などの他のメディアを必要としない未来になっていることは想像に難くない。
そもそも、若年層のファンに限って言えば「テレビをずっとつけていたらジャニーズを知った」ではなく「好きなジャニーズを見るためにテレビをつける」傾向が強くあった。 性加害報道直後、『ミュージックステーション』ではオリジナルのセットのない場所で歌い踊るだけといった出演の仕方が多くなったことに象徴的だが、近年、歌番組などは特に、彼らの魅力を引き出すというよりも、彼らの力に頼るものも多くなっていた。他の番組も、彼らが出演することによって、視聴率や再生回数などのテレビ局側の数字に寄与していた面も強い。