韓国機事故で179名が死亡、2人の生存者が座っていた“生還しやすい座席” 相対的には「前方より後方」「窓側より通路側」「非常口付近」
旅行に帰省、出張と、快適な旅には欠かせない旅客機。だが、人類が空を飛ぶことの代償は小さくないのかもしれない。一瞬で数百人もの命を奪いかねない旅客機の事故から、「生還しやすい」座席があるとしたら──。 本来なら旅行に出かける客で賑やかな雰囲気となるはずの年末の空港ロビーに悲痛な叫びがこだまする──。韓国の南西部に位置する務安国際空港は、空港職員や警察官を問いただす人、頭を抱えうなだれる人、慟哭する人たちで埋め尽くされていた。 【図解で見る】専門家が解説する「生存率が高い席」とは
12月29日、タイ・バンコク発の済州航空の旅客機が着陸に失敗し、滑走路を越えてコンクリート壁に激突。直後に機体は爆発、炎上し、乗客乗員181人のうち179人が死亡するという韓国の旅客機事故で最大の被害となった。事故機には、クリスマスと年末の連休を利用してバンコクへのパッケージ旅行に参加した人も多く搭乗しており、帰国後は穏やかな年末を過ごすはずだった。 文部科学省が1983~2002年に日本国内で起きた事故の統計を解析した調査によれば、旅客機事故で死亡する確率は0.002%。一方、自動車事故で死亡する確率は0.2%で100倍ほどの差がある。厳しく訓練されたプロが運航し、何重にも安全対策が施された旅客機での旅は、数ある交通機関でもトップクラスに安全、ということになる。
現在、事故の原因として指摘されているのが、鳥と衝突する「バードストライク」だ。航空評論家の青木謙知さんが解説する。 「上空にいる時点で機体の片側のエンジンから出火しているように見えるので、バードストライクが起きた可能性はあります。しかし、旅客機のエンジンは2台あり、1台が破損しても、パイロットは残る1台のエンジンで安全に着陸できるよう訓練を積んでいるので、バードストライクだけが事故の原因とはいえません。 映像では減速するためのフラップや車輪が出ておらず、それらの装置にトラブルがあった可能性も考えられる。事故原因の詳細はフライトレコーダーの解析を待つしかない状況です」 一命を取り留めた2人は、いずれも乗員だった。 「乗客サービスを行っていた2人の生存者は機体最後部から救助され、事故発生時、後方にある簡易キッチンの座席に座っていたそうです。衝突の衝撃で尾翼を含む機体最後部が偶然にも切り離される形になり、爆発に巻き込まれずに済んだので、奇跡的に助かったと推測されています」(在韓ジャーナリスト) 今回の生存者が機体最後方から出たことは偶然ではない。これまでも事故発生時、どこの座席に座っていたかが、生死を分けた例がある。 どの航空会社でもファーストクラスやビジネスクラスなどの上級シートは前方に設けられており、これは乗降しやすく、エンジンから遠いので、騒音や揺れが少ないためだが、事故が起きた場合、前方座席の生存率は高いとはいえない。1985年に御巣鷹山で起きた日航ジャンボ機墜落事故での死者は520人。4人の生存者がいたが、すべて後方座席に座っていた乗客だった。
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