防災の専門家が教える「非常用持ち出し袋」と「日常備蓄」の備え方。コロナ禍の今だからこそ用意すべきものは
災害大国で暮らしていることを受け止めて、防災対策は当然のことだと考える
――近年、日常備蓄(ローリングストック)という考え方が注目されています。国崎さんの考える日常備蓄のコツとはどんなことでしょうか。 国崎さん: 私は20年以上前から日常備蓄を実践してきました。災害時も栄養バランスを考えて家族みんなが健康に過ごせるように、普段の食材をちょっと多めに買って、食べたらその分補充して一定量の食料が常にストックされるようにしているんです。 目安は、家族みんなが10日分きちんと食事できる量。食べた分を買い足す習慣を身につけると、災害時もストック不足で慌てることはないでしょう。 そして、ストックした食材を無駄なく使うために、食べる順番を決めておくのも大事。生鮮食品や加工食品は鮮度が落ちると腐るため早めに調理して食べるようにし、野菜など常温保存で食べられるものは、食べる順番を後回しにするとよいでしょう。 ――最後に、災害に備えてこれだけは意識してほしいということを教えてください。 国崎さん: 日本には、豪雨や台風、雪害もあるし、地震もある。私たちは災害大国で暮らしていることを受け止めて、この国で生きていくためには防災対策は当然のことだと考えてほしいです。 しかし、日頃から災害のことを考えながら生きていくのは楽しくないですから、ついつい敬遠しがちですよね。だから、いざ災害が起きたときに「何をしたらいいんだろう」ととまどうし、避難が遅れてケガをしてしまったり、命を落としてしまったりすることがあるのだと思います。 そうならないためには、今回ご紹介した非常用持ち出し袋の用意や日常備蓄だけでなく、ぜひ防災の情報を自分から取りに行くことを意識していただきたいです。自分や大切な人の生命を守るためにも、自ら防災に関する情報をアップデートさせる意識を持ちましょう。 ----- 国崎 信江(くにざき のぶえ) 危機管理教育研究所代表。危機管理アドバイザー。 横浜市生まれ。女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱。国や自治体の防災関連の委員を務め、講演活動を中心にメディアに情報提供するほか、被災地での支援活動を継続して行う。主な著書は『サバイバルブック―大地震発生その時どうする?』(日本経済新聞出版社)など。 文:大井あゆみ 制作協力:Viibar