皇室の存続を左右する、愛子さま「皇位継承」問題…「男系男子限定」の不平等が、日本でまかり通るワケ
国連の「女性差別撤廃委員会」は10月29日、「日本の皇位継承における男女平等を保障する必要がある」とし、男系男子が皇位継承すると定めている「皇室典範」の改正を日本政府に勧告しました。政治問題となっている「選択的夫婦別姓の導入」とともに、「日本における男女不平等のひとつ」とされた皇位継承問題。 【写真】小室圭さんの様子がおかしい…2年前とはまるで「別人」に 日本に求められたことは「女性への皇位継承も認める法改正を」――という勧告です。けれど、日本政府はこの勧告に猛反発。ジェンダー平等という世界的な価値観のなかで、なぜ政府は男系男子にこだわるのか? 前編記事の<じつは、悠仁さまにも大きな影響が…愛子さま「女性天皇」問題で直面する「皇室存続の危うさ」>にひきつづき、『愛子さま 女性天皇への道』をこのほど上梓した、皇室研究者の高森明勅さん(國學院大學講師)に、世界も憂慮する日本の皇室の危機と、解決策をうかがいました。
皇室典範の改正で危機は乗り越えられる
この危機を乗り越えるためには、どうすればよいのか。皇位継承資格を「男系男子」だけに限定する今の皇位継承のルールを変更することが欠かせません。そのルールを変えるためには、法律である皇室典範を改正しなければなりません。 法律を改正する権限を持っているのは国会です。 その国会で新しい法律を作ったり、これまでの法律を改正したりする場合に、しばしば主導的な役割を果たすのは政府です。ところが政府も国会も、女性天皇を可能にするための皇室典範の改正に、これまで本気で取り組もうとしないまま、長い歳月が流れてしまいました。 そもそも国会は、国民を代表する唯一の立法機関という位置づけです。政府は、その国民の代表機関である国会によって指名され、天皇から任命された内閣総理大臣が統率する行政機関です。どちらも、国民の意思を尊重すべき義務を負っているのは、もちろんです。
世論調査では9割が女性天皇を認めている
国民の多くは女性天皇を認めようとしています。そのことは、これまでのさまざまな世論調査の結果にもよく表れています。たとえば、令和6年(2024)の4月28日に共同通信社が公表した調査結果はどうだったか(郵送方式、有効回答数は1966件)。 《あなたは女性皇族も皇位を継ぐ「女性天皇」を認めることに賛成ですか、反対ですか》という質問への回答を見ると、「賛成」が52%、「どちらかといえば賛成」38%。合計でぴったり90%という数字でした。これは異常に高い比率と言うほかありません。 これに対して、「どちらかといえば反対」が6%、「反対」が3%。合計でもわずか%9。つまりひとケタにとどまりました(無回答が1%)。 どのような世論調査でも、価値観の多様さを前提とする社会にあって、賛成でも反対でも100%という結果はありえません。80%を超えたら驚異的な高さと言えるでしょう。 それを考えると、多少の温度差はあっても共同通信社調査の90%が賛成という数字は、ほとんど国民の総意の表れと表現しても、決して言いすぎではないでしょう。 これは決して“瞬間最大風速”的な数字ではありません。これまでに行われた各種の世論調査でも、女性天皇を認めることはコンスタントに高い支持を集めてきています。 改めて言うまでもなく、天皇の地位は「国民の総意」に基づくべきことが、憲法の第1条に規定されています。そうであれば、圧倒的多数の国民の意思を尊重して、女性天皇を除外している今の皇位継承ルールは、是非とも見直す必要があるはずです。