TikTok経由で流行中のデジカメ・コンデジ 現役大学生に聞く“写真に求めるもの”の変化
『Instagram』や『TikTok』、『BeReal』など、Z世代が日常的に使っているSNSのなかで、欠かせない“写真”たち。 【写真】『ミスキャンパス同志社2024』ファイナリスト・木村桜子さん&『ミス & ミスター中央コンテスト2024』ファイナリスト・江口瑚乃果さんらの撮り下ろしカット 最近では「平成レトロ」ブームをきっかけに、デジカメやコンデジ、フィルムカメラ、スマホアプリのエモフィルターで撮った写真や動画がSNSで急増しているように見えるが、実際はどうなのだろうか。 今回は、『ミスキャンパス同志社2024』ファイナリスト・木村桜子と、『ミス & ミスター中央コンテスト2024』のファイナリスト・江口瑚乃果。そして、Z世代をターゲットにしたブランディング・マーケティング支援を行う株式会社bieno(以下、bieno)の代表取締役・奥原ゆきの氏に話を聞いた。 なお、今回の取材はbienoが実施した「東大・早慶上智・GMARCH約500人に聞いた! Z世代はどうやって写真を撮るの? Z世代の写真事情」の結果をベースに進行する。(リアルサウンドテック編集部) <Z世代が、カメラに求めることとは?> ーーまずは、木村さんと江口さんの自己紹介をお願いします。 木村桜子(以下、木村):『ミスキャンパス同志社2024』のファイナリストとして活動しております。部活動は、レスリング部のマネージャーをしています。高校までは、バレーボールをしていました。180センチの長身を、なにか別のことに生かせないかな? と思い、この活動を始めました。表舞台に出るのは初めてなので緊張していますが、頑張っていこうと思っています。 江口瑚乃果(以下、江口):『ミスター & ミス中央コンテスト2024』のファイナリストとして活動しています。現在は2年生で、経済学部経済学科に通っています。小さいころからフラダンス、ジャズダンス、チアダンス、ヒップホップなど幅広いジャンルのダンスをやってきて、現在もダンスサークルに所属しております。 ーーみなさん、ミスコンにエントリーする前はご自身で写真を積極的に撮る方でしたか? 木村:自撮りとかは、まったくしていなかったです。カメラにもこだわりがないというか。そもそも、スマホ自体をあまり使わないタイプだったので。 ーーいまの大学生としては、なかなかレアなタイプですよね? 木村:そうだと思います。この活動を始めてから、いろいろ興味を持ち始めました。 江口:わたしは、小学校高学年のころからスマホを持っていました。親に「インスタをダウンロードしていいよ」と言われてからは、いろいろなインフルエンサーさんの投稿を見るようになって。そのころから、「この人たちみたいになりたい!」と思っていた気がします。高校からは学校でスマホを使ってOKになったので、友達とたくさん写真を撮っていました。自撮りもまわりがしていたので、うまく撮れたらSNSにアップしたりしていましたね。 ーーある意味、真逆なおふたりですね。江口さんが持っているカメラは、自分で購入されたんですか? 江口:『SONY DSC-WX300』は親から受け継いだものです。 ーーカメラに興味を持ったきっかけは? 江口:昨年あたりから、周囲でデジカメを持っている人が増えてきたんですよね。SNSでも頻繁に見かけるようになったので、「わたしも、こういうエモい写真を撮りたい!」と思い、興味を持ちました。 ーー『SONY DSC-WX300』の使い心地はどうですか? 江口:画質もいいですし、フラッシュを焚くと、すごく雰囲気もよく綺麗に撮れます。 奥原ゆきの(以下、奥原):デジカメで撮った写真は、どうやってスマホに移すの? 江口:わたしは、アプリで移しています。Wi-Fiで飛ばせるので、すごくラクで。ちょうどいいのを親が持っていてよかった! という感じです。 ーーもし、いま使っているカメラが壊れてしまったら、自分でもう一度お金を出して買いたいなと思いますか? 江口:思います! それこそ、ミスコンの活動を始めてから、画質が気になるようになっちゃって。 ーー自分で購入するとしたら、欲しい機種はありますか? 江口:うーん。インフルエンサーで活動している方って、だいたい専用のコンデジをお持ちになっているじゃないですか。それを買いたいなぁと思うんですけど、値段が高すぎるので……。 ーーまわりにも、コンデジが欲しいと思っている人はいるのでしょうか。 江口:いやぁ、いないですね。1万円くらいでいいのが買えたらいいやって人が多いです。 ーー買う機種もバラバラなんですね。 江口:バラバラです。ほんのちょっとの期間だけ使うものって考えている子が多いので、「そんなに高くなくていいや」みたいな。画質にもこだわりなくて、中古でもOKって感じですね。オークションで買うとしても、一か八かでいいものが買えたらいいねって。 ーー奥原さんは、初めて買ったカメラを覚えていますか? 奥原:中学2年生くらいのときに、『CASIO EX-ZR300』を買いました。自撮りできて、美白加工みたいなものもあって、お値段もそこまで高くなくて、かなり流行っていた気がします。 ーー木村さんはいかがですか? 木村:ミスコンのメンバーとスタッフさんみんなで使うために、カメラが1台支給されたんです。そのときに撮った写真を見ると、やっぱりいいなと思うし、ほしい気持ちはあるけれど、江口さんと同じでお値段が気になります。 <写ルンですがバズった理由は“エモさ”にあり?> ーー奥原さんは、最近のカメラブームをどう見ていますか? 奥原:最近はまた、「画質が高いものって、やっぱりいいよね」と思われてきているイメージがあります。本格派のミラーレスを持っている子も増えてきているので。結局は、高画質ブームとエモい画像ブームを繰り返していくんですかね。ちょっと前までは『写ルンです』のブームが来ていた気がするけれど、今はちょっと落ち着いてきたのかな? 木村:高校生時代は、よく使ってました。文化祭とかイベントのときに。スマホは使えなかったけれど、カメラは持ち込みOKだったから。 江口:わたしも『写ルンです』は持ってましたね。ディズニーに行くときとか、それこそ文化祭とか。イベントのときはマストで買ってました。夜にフラッシュを焚いて撮ると、おしゃれで可愛いんですよね。 ーーエモい写真が撮れるけれど画質がいいアイテムとして、コンデジが評価されているんでしょうね。 奥原:たしかに! あと、エモい画質が流行り始めたのは、TikTokのトレンドも関係している気がします。 ーーと、いうと? 奥原:最近は、元カノを想うようなエモい楽曲とかがブームじゃないですか。そういう曲に合うのが、エモいフィルターなんですよね。TikTokで流行っている音楽の影響も、少なからず受けているように思います。 <写真選びで最も重要なのは、“画質”?> ーーカメラアプリのなかでは、やっぱり『DAZZ』が強いですね。まわりでも、使っている人は多いですか? 木村:わたしは、友達に勧められて使い始めました。まわりでも使っている子は多いです。 奥原:なんのフィルターを使っているんですか? 木村:クラシックですね。白いカメラのアイコンの。 ーー『DAZZ』のなかにも、いろいろなフィルターがあると思いますが、状況で選ぶというよりは、お気に入りのフィルターを何個か見つけているという感じ? 木村:そうですね。事前に見つけています。たとえば、海に行くとなったら、TikTokで「海 DAZZ」で検索したりします。 ーー江口さんは、いかがですか? 江口:わたしは『DAZZ』を入れたことがなかったです。鮮明にパキッとしている方が好きなので。デジカメでエモい写真を撮ることはあっても、カメラアプリにエモさはあまり求めていなかったかもしれないです。 ーーSNSにアップする写真のなかで、いちばん気になるのはやっぱり画質ですか? 江口:わたしは、結構気にしています。構図やシチュエーションがよくても、画質がダメだと使えないなぁとか。 木村:もともと画質が悪いものを投稿すると、さらに落ちたりしますもんね。すごくよく撮れているけれど、画質がだめだってときは、もったいないから、ストーリー用に回したりしています。 ーーほかの人の投稿を見るときも、画質は気になりますか? 江口:すごく気になりますね。「この人、なんでこんなに画質いいんだろう」とか。そういう人って、だいたいiPhoneのProを使っているんですよね。とくに、iPhone 15 Pro Maxはすごく画質が綺麗です。 木村:わたしは、iPhone 15 Pro Maxを使っているんですけど、さらに画質をよくする設定にしてみたら、毛穴とか見せたくないところまで映ってしまってびっくりしました。こんなに鮮明になるんだって。 <次に来そうなトレンドは、“外カメフラッシュ”> ーー次のトレンドは、何が来そうですかね。 江口:外カメフラッシュとか? ーー「外カメフラッシュ」ですか。 江口:はい。高校時代からやっているんですけど、夜にフラッシュで自撮りをすると、すごく鮮明に映るんですよ。ミスコンの活動を始めてから、「どんな写真がバズるのかなぁ」っていろいろな方の投稿を見て勉強しているんですけど、外カメフラッシュはいい感じにバズっています。夜×フラッシュは、顔も盛れるんですよね。 ーー夜にフラッシュを焚いて、外カメラで撮るのが「外カメフラッシュ」と言われているんですね。 江口:そうです。外カメだと、内カメで撮るよりも綺麗に映るのでオススメです。ただ、外カメで自撮りをするって、なかなか難度が高くて。 ーーたしかに、むずかしそうです。 江口:わたしはまだうまく撮れたことがないです(笑)。 “盛れる”という概念が、だんだん変わってきている? ーー“盛れる”という感覚も、だんだん変わってきていそうですよね。ビジュアルがよく映るだけではなく、画質がいいのもマストになってきているというか。 江口:たしかに! わたしは、とにかく肌ツヤを意識しています。フラッシュとかで肌が綺麗に映っていると、「この写真、盛れたな」と思います。 ーー木村さんもですか? 木村:わたしも、肌の写りは大事にしていますね。 ーー顔を盛るというよりは、どれだけナチュラルに見せるかという感じなんですね。 木村:ですね。友人と写真を撮るときも、エフェクトとかは使わずにiPhoneのノーマルで撮影しています。写真を編集するときも、いかにノーマルっぽく見せられるかを意識しているかもしれないです。 江口:『BeReal』が流行っているのも、大きいかもしれないですね。盛らなくてもいい、自然がいいみたいな。わたしは、肌を綺麗に見せたいので、加工はしたい派なんですけど、肌さえも加工せずそのまま載せる子も多いです。 木村:個人的には、TikTokのカメラで撮るのもおすすめです。 江口:分かる! TikTokのカメラ、盛れますよね。 木村:ナチュラルに盛れるから好きです。 奥原:TikTokで、そのまま撮るだけ? 木村:ナチュラルなエフェクトを使うこともあります。 奥原:なるほど、たしかにTikTokに載っている写真とか動画って、みんな画質もいいし可愛い気がする! ーースマホアプリが高性能になってきているから、デジカメやコンデジを求めない人も増えてきているんですかね。 奥原:たしかに。ちょっと前までは、カメラとスマホがかけ離れた存在でしたもんね。だから、カメラの需要があったのかも。今カメラを買う人は、画質とかよりも、“カメラを持っている自分”というブランディングとか。カメラを持っていないとできない構図で撮影がしたいとか。 ーーカメラを持っていないとできない構図というのは? 奥原:たとえば、スマホで自撮りをしているよりも、鏡越しにカメラで自撮りしている方が、“自撮り感”がなかったりするじゃないですか。ちょっと洗練されている感じがするから、まわりと差別化ができる。そういった部分でも、カメラが求められているんだと思います。
取材=中村拓海/構成=菜本かな