全く新しいファイアウォール--分散型セキュリティ「Hypershield」を展開するシスコシステムズ
--Hypershieldは、どのような顧客がターゲットですか。 Chopra氏:SaaSのみという企業は対象外ですが、自社でアプリケーションを管理する企業は、全てセグメンテーション、保護、パッチ適用などのライフサイクル管理を行う必要があり、Hypershieldによるメリットを享受できます。規模は関係ありません。パブリックとプライベートのデータセンター、クラウド、物理ロケーションあるいはその組み合わせなど、さまざまな運用形態をサポートします。 実装も、Kubernetesを使用している場合は追加のインストールなしに管理プレーンを設定するだけで利用を始められます。既に導入しているセグメンテーションや可視化などの製品を統合できるため、高いパフォーマンスを維持しながら、運用効率とコストの両方を改善できます。 石原氏:日本でも大手の製造業などから高い関心をいただいています。年間に2万2000件もの脆弱性が報告されていますが、一方で、人手不足です。多くの組織では、セグメンテーションや脆弱性の保護がバラバラに行われており、一貫したオペレーションができていません。総じて全体の可視化をできず、セキュリティが弱くなっています。そのような課題を克服できる技術として高い期待が寄せられています。 われわれは、伝統的に(顧客企業の)ネットワークインフラ担当と話をすることが多いのですが、ここ数年でセキュリティ担当ともやりとりさせていただくようになりました。今後、Hypershield、AIセキュリティなどと分野が拡大し融合していく中で、お話する人も考えながらソリューションを提案していきます。 --Hypershieldの今後の計画について教えてください。 Chopra氏:統合を強化していきます。具体的には、現在ソフトウェアとして提供しているHypershieldをデータセンターのスイッチに直接組み込むなどのことを進めます。 --シスコシステムズは、ネットワークベンダーとしてスタートし、セキュリティにはここ数年で注力しています。セキュリティベンダーとしての顧客への認知や浸透をどう見ていますか。 Chopra氏:ネットワークとセキュリティが交わる領域において、われわれは唯一無二のベンダーです。重要なのは、セキュリティを後付けではなく最初から組み込んでいることです。これにより、拡張性のあるセキュリティを実現しています。 われわれは、セキュリティの取り組みを全て統合する形で「Security Cloud Control」という単一のインターフェースを提供しています。メールセキュリティ、認証情報対策としてのアイデンティティー管理、アプリケーションアクセスのためのセキュリティサービスエッジ(SSE)など、必要な機能を段階的に追加でき、それを別々の場所ではなく一つの共通の場所から利用できるのです。 石原氏:セキュリティビジネスは日本でも好調であり、2桁成長を続けています。その背景として、「Cisco XDR」「Cisco Secure Access」などが大手で導入され続けています。また、脅威インテリジェンスリサーチ「Talos」の日本での展開も始まっています。 顧客は、(セキュリティ対策に)パッチワークではなくプラットフォームでのアプローチを望んでおり、われわれはそこにフィットしています。データセンター、ワークプレース、レジリエンスなどのわれわれの技術分野には全てセキュリティが組み込まれています。それが大きな差別化になっています。 (取材協力:シスコシステムズ)