ドラマの世界がリアルに? GPS運転補助トラクターなど精密農業の現在
起きつつある日本農業の構造変化
国内外の企業が精密農業に注目する背景には、これまで日本農業を支えてきた中心世代の高齢化が進行し、その結果、離農が止まらず、後継者が不足しているという現状がある。農業就業人口が減少している上に、高齢化によって農家数は減少し、耕作放棄地は年々増加している。一方で、新規就農者は微増ながら増加傾向にある。さらに耕地面積10ヘクタール以上の大規模農家が増えているなど、日本農業に構造変化が起きつつある。 そうした環境のもと、農作業の効率化や生産物の品質向上のニーズは農業者から年々高まっている。政府も農業競争力の強化に乗り出しており、2020年までに農林水産物や食品の輸出額を1兆円規模に拡大することを目指している。このため農業のイノベーション(技術革新)は急務になっており、これまで農業者の経験と勘に頼ってきた圃場(ほじょう)や農場の管理や農作物の生産は、さまざまな先端技術を活用して精密化し、効率化とコスト削減、食味の一段の向上など質的転換が求められている。 具体的には、ドローンを使った種まきや農薬散布、生育状況の確認、非熟練者でも対応できる機械操作、重労働や危険作業からの解放など、技術進歩に期待することは多い。 関連企業にとってもビジネスチャンスであり、クボタはトラクター事業を含めて2022年の売上高は2.5兆円を目指している。バイエルとXAGの共同事業開発は2019年から本格的にスタートするという。 情報通信技術の向上で農業のさまざまな作業がデータ化され、最適管理をする時代。こうした取り組みを通じて、日本の農業が一段の競争力強化を実現できるかどうかが注目されている。 (3Nアソシエイツ)