星稜が30年ぶり天理戦 当時、監督は松井秀喜さんと… センバツ
30年越しの勝利の感慨――。第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)第4日の22日、星稜(石川)は天理(奈良)との延長十一回の激戦を5―4で制した。両校が甲子園で戦うのは1992年の第64回大会以来30年ぶり。今大会を最後に退任する星稜の林和成監督(46)は30年前、選手として戦い、逆転負けした因縁がある。くしくも終盤まで似たような展開となりながらの勝利。「強豪の天理と素晴らしいゲームができた」と語った。 【過去には小芝風花さんも】歴代センバツ応援イメージキャラ 「運命めいた感慨深いものがある。チャレンジャーの気持ちで向かっていきたい」。天理との対戦を前にそう意気込んでいた林監督。「名門校同士の対戦です」。今月4日のオンラインでの組み合わせ抽選会の結果をアナウンサーが伝える中、脳裏には30年前の記憶がよみがえっていた。 当時の星稜は後にプロ野球・巨人や米大リーグ・ヤンキースなどで活躍する松井秀喜さんらを擁して8強に進み、天理との準々決勝に臨んだ。林監督は遊撃手として1学年上の松井さんと三遊間を守った。 試合は終盤まで1―0で星稜がリード。しかし、天理が八回に連続四球でチャンスをつかむと、次打者がバントの構えからヒッティングに切り替えて同点適時打を放つ。結局この回に5点を奪われ星稜は敗れた。「(同点適時打が)一、二塁間を抜けるシーンは今でもよく覚えている」と林監督は振り返る。 大学卒業後に母校に戻り、コーチなどを経て2011年に監督に就任。19年夏の準優勝など母校を春夏計9回も甲子園に導いた。選手たちは「甲子園で勝つことが最高の恩返しだ」と奮起して昨秋の公式戦を戦い、今回のセンバツ出場を勝ち取った。 この日は四回に1点を先制、八回に1点を加えるも、その裏に追いつかれる。「序盤に先制してなかなか点を取れず終盤を迎え、スコアボードを見ながら30年前と同じ展開だなと。くしくも同じ八回に失点してしまった」。試合後にそう話した林監督は「30年前は守備の乱れでばたばたといったが、今回は2年生の武内(涼太投手)が投げ切ってくれた」と勝因を挙げ、「何より生徒たちが楽しんで力を出し切ってくれたことがうれしい」と結んだ。 対戦前は「あくまでも自分の話で、選手たちには関係はないから」とチーム内では多くを語らなかったという。それでも、八回に適時打を放った遊撃手の斉賀壱成選手(2年)は「30年前の監督と同じ場所を守れた。失策もなく、狙った球を打てた」と、監督への恩返しを喜んだ。【深尾昭寛、山口敬人、浅野翔太郎】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。