ブラジル期待FWビニシウス封じに成功した長友佑都が感じた森保Jの課題と収穫「最終的な部分で個の力を伸ばさないといけない」
背水の陣を敷いた長友のもとへ、今シーズンのラ・リーガ1部で17ゴール13アシストをマークし、先のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でもレアル・マドリードを優勝に導くゴールを決めたホープ、ビニシウスが先発するという情報が伝わってきた。 しかもポジションは左サイドのアタッカー、すなわち自らの対面に来る。エースキラーを拝命した20代の自分を思い出すかのように、長友は「相手が強くなるほど――」という言葉を、ブラジル戦前日のメディア対応であえて使った。 「その言葉が本当なのか、嘘なのかというところで、自分自身を追い込んだ部分もありました。味方のサポートがあったからビニシウスを止められた、というのもありますけど、まだまだ自分はやれると感じさせてくれた試合でした」 後半13分には攻撃面でも存在感を見せた。 右タッチライン際からFW伊東純也(29、ヘンク)とのワンツーでビニシウスの背後を突いて縦へ抜け出した。FW南野拓実(27、リバプール)へのクロスはDFエデル・ミリタン(24、レアル・マドリード)が必死に伸ばした右足にカットされたが、らしさを発揮できなかったビニシウスは5分後に最初の交代でベンチへ下がっている。 個人的には手応えをつかんだが、肝心の試合そのものには負けた。 何度もビッグセーブを演じた守護神・権田修一(33、清水エスパルス)を中心に、チームが一丸となった粘り強い守備でFIFAランキング1位のブラジルに食い下がった。しかし、ネイマールに決められた後半32分のPKが重くのしかかった。 対戦成績は日本の2分け11敗。得点5に対して失点35と圧倒的な差を見せつけられたままだ。直近の5試合で日本代表に招集され、すべてでブラジルの軍門にくだった長友は、スコア上では惜敗となる国立競技場での一戦をどう受け止めたのか。 「正直、僕がいままで対戦したブラジルは手も足も出なかったし、まったく太刀打ちできない状態だった。なのでブラジル戦では常に悲壮感を募らせていたし、何もできない自分が腹立たしかった。もちろん今日も点差以上の差があったと思う。ただ、何もできなかったいままでのブラジル戦と比べると、手応えを持てた試合だったんじゃないかと」 これを5ヵ月半後に迫ったカタールワールドカップに置き換えてみる。優勝経験のあるドイツ、スペイン両代表と顔を合わせるグループEで、再び「惜しかった」と結論づけられる試合をすれば、決勝トーナメントへ進出できる確率は極めて低くなる。