本を与えるだけではダメだった。現役東大生に聞く、子どもの好奇心を育む方法
両方を選ぶのは、難しい?
すみれ:おっしゃるように、社会に認められて、尚且つ自分のやりたいことがいちばん良いと思います。でも、両方を叶えることって難しそうだなと思いました。 東郷:確かに、両方を叶えるのは難しく見えますよね。だから、社会的に良い選択を掴むための受験教育しか選べないと思ってしまいがちですが、実はもう片方はそんなに難しいことではないと思っています。 なぜなら、受験(算国理社)という、興味のないものに興味をもたせるのではなく、もともとある興味を育てて、その芽を潰さないように守ってあげることだから。 小さい頃に受けた影響って、ものすごく残るじゃないですか。「どうやって好きなものを見つけるのか、どう学んでいけばいいのか」という経験って、体に刻まれて残っていくと思うんです。 両方を選ぶのは難しいからと言って、子どもにとって良い選択を諦めてしまうと、その先に待っているのは、社会的に良いとされる選択だけ。それって本当に「子どもにとって幸せな人生」でしょうか。
東大生が考える、知的好奇心とは?
すみれ:子どもの興味を伸ばした方が良いことは、頭ではわかっているつもりでした。でも、「受験教育よりは必要ではない」と思っていた部分があったかもしれません。 でも、東郷さんのお話を聞いて、「興味を伸ばすことって、受験教育と同じくらい必要なんだ」ということを、お恥ずかしながら、今初めて理解できたなと思いました。 東郷:僕は「これが絶対に必要なんだ」と、サービスを押し付けるつもりはあんまりないんです。もちろん僕は、本気で必要だと思っています。でも、同じように親御さん達も、必要だと思っていますよね。ただ、受験教育という一番大きな流れと、ほぼ逆行していることだからこそ、必要だと口に出せない。 おそらく「なぜそれが大事なのか」というのが、よくわからないからだと思うんです。「知的好奇心や興味を伸ばしてあげたら、何が良いの?」と聞かれても、みんなうまく答えられないんですよ。だから、なんとなく大事だと思っていても、いまいち踏み込むことができない。 僕たちが見つけた答えは、「知的好奇心は、自分にとっての幸せを掴み取るために必要な力」だと思っています。「良い企業に入って、良い生活ができる」という社会的な価値ではなく、「自分にとって何が大事なのか」という、自分だけの価値を見つける力です。 子ども達が、社会的な軸だけじゃなく、自分の軸を持って歩んでいける世界を作っていく。それが、僕たちの目指す最終ゴールですね。 今回、お話を伺って、今までぼんやりと思っていた「興味を伸ばすことの大切さ」について、改めて腑に落ちたように思いました。みなさんは、子どもの興味をのばすためにどんな工夫をされていますか? みなさんの意見も、ぜひ教えてください。