親が亡くなってからでは遅すぎる…40代男性が「親が元気なうちに聞いておけばよかった」と後悔していること
■「万が一の事態」に慌てない準備を このような「お金の話の切り出し方」は筆者自身が実践していることでもありますが、実際にお客様にも役立てていただいています。親との関係があまり良くなかったというお客様が、親に「やりたいこと」を聞いたことを皮切りに、資産状況が把握できただけでなく、会話が弾んでいつのまにか関係も良好になったと喜ばれていたこともありました。 また、今では一緒に実家の断捨離の手伝いもするようになったと話されていた方もいらっしゃいました。ご自身も親との時間を楽しみながら実家の片付けを進めているとのことで、実家の心配事がクリアになって余裕が生まれたと話していました。 親が元気なうちにやらなければならないことはたくさんあります。関係性にもよりますが、もしかしたら一度や二度の帰省で完結するものではないかもしれません。まずは親のやりたいことを手伝ったり、書類やファイルを整理したりするなかで、徐々に親の資産状況を把握していく、というケースが多いかとは思います。 もちろん兄弟姉妹がいる場合は、1人で進めず、目的と進捗を必ず周知しましょう。後から、「親のお金を自分勝手に使い込んだ」なんてあらぬ疑いをかけられたら元も子もありません。 親と「お金の話」ができるようになれば、いざというときの備えは着々と進むでしょう。介護が必要になった親はどのようなケアを望んでいるのか、延命治療はどこまで希望するのか、お墓はどうしたいのかなど、普段聞きづらいような突っ込んだ話も聞けるようになるかもしれません。 親と過ごす時間は後戻りができません。いざというときは誰しもに訪れます。その時に慌てないよう、ぜひ今のうちから準備を進めていただくための参考になればと思います。 ---------- 山中 伸枝(やまなか・のぶえ) ファイナンシャルプランナー アセット・アドバンテージ代表取締役。心とお財布を幸せにする専門家、ファイナンシャルプランナー(CFP)、確定拠出年金相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務。2002年にファイナンシャルプランナー(FP)として独立。著書に、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)、『ど素人が始めるiDeCoの本』(翔泳社)などがある。 ----------
ファイナンシャルプランナー 山中 伸枝