俳優・関貴昭さん逝去 死因の「食道がん」の初期症状・原因・なりやすい人の特徴を医師が解説
食道がんの特徴やリスク
Q.食道がんになりやすい人の特徴や年代はありますか? A.まず食道がんになりやすいのは女性よりも男性の方が大多数で、年齢は50~70歳が多く発症します。男性は胃・肺・大腸・前立腺・肝臓に次いで6番目に多く、女性と比べて発症率は5~6倍です。 リスク要因で1番考えられるのは喫煙で、食道がん患者の60%はタバコが原因だと考えられています。そこに飲酒も加わると、さらにリスクが高くなるのです。またお酒を飲むと顔が赤くなる(フラッシャー)人は、食道がんのリスクが高くなることが知られています。その理由が、アルコールに含まれているアセトアルデヒドです。このアセトアルデヒドは二日酔いや顔が赤くなる原因物質ですが、体内に長時間滞在すればするほど食道がんの発症リスクが高くなります。ほかにも熱い物を飲食する習慣がある人や、肥満などがリスク要因として挙げられます。50歳以上のタバコと飲酒が好きな人は、発症リスクが高めなので要注意です。 Q.食道がんを疑った方が良い初期症状などあれば教えて下さい。 A.食道がんの初期症状として、塩分の高い食べ物・酸味が強い食べ物・熱い物を食べた時にしみるなどの症状があります。また食道の内径は2mmと狭いので、がんが進行するとつかえる感覚も出てきます。食道の周径の半分以上にまでがんが大きくなると、力を入れても食べ物が飲み込めなくなり、早めの治療が必要です。 また食道の近くには声を調節する神経が走っていますが、がんに圧迫されることによって嗄声(かすれ声)が出ることもあります。嗄声の症状で耳鼻科へ受診しても、咽頭喉頭に異常はなく見逃されてしまう可能性があります。 食道がんは初期症状の自覚がないことがほとんどなので、わずかなサインも見逃さないようにしましょう。 Q.食道がんが進行してしまうとどんなリスクがありますか? A.食道は心臓・肺・気管・大動脈など、大切な臓器に囲まれています。食道がんが進行するとより深く外側に大きく広がり、気管や大動脈など周囲の臓器に広がっていきます。これが浸潤です。 また食道の壁内にある血管やリンパ管にがんが侵入すると、血液やリンパの流れに乗って、リンパ節・肺・肝臓などの臓器にがんが移ってしまいます。これは転移といいます。 このようにがんの発見や治療が遅れてしまうと周囲やほかの臓器にも影響が出て、治療がさらに困難になっていくので、早期発見と早期治療がとても重要です。 Q.がんと聞くと怖いイメージがあるのですが完治するのでしょうか? A.食道がんは早期発見・早期治療ができれば比較的予後は良好です。粘膜に留まっているがんであれば内視鏡下で切除できない場合でも、手術をすれば5年生存率は約78.8%です。粘膜下層まで広がっていた場合も、リンパ節転移しなければ手術で完治が期待できます。ステージ4まで進行した場合の5年生存率は、約9.2%程度しかありません。 食道がんを発症した人は、約23%の確率でほかの臓器にもがんができる可能性があるため、治療後も定期的に検査を受けることが大切です。ほかの臓器にできる割合は、頭頸部がん・胃がん・大腸がんの順番となっており、検査はCT検査だけでなく内視鏡検査も受ける必要があるでしょう。