【センスあふれる古牧ゆかりさんの旅の記憶】モロッコの美しい街、自然に思いを馳せる
「あとモロッコといえばやっぱりタジン鍋! 過去の記事「友と楽しむ、お茶とアペロ編」で紹介した魚のタジン鍋は、2015年の旅ではないのですが、モロッコの海の方を巡った際に、エッサウィラで現地の方に教えてもらったレシピをアレンジしたものです。とっても簡単で美味しくて、モロッコの思い出も詰まった、我が家の定番レシピになっています」
見所も食べ処も満載のモロッコだが、古牧さんがいちばん好きなのは、2015年の旅でも訪れた、メルズーガ(サハラ砂漠)だという。「モロッコの旅で砂漠を訪れた際には、よくキャンプをするんです。夜には満天の星空が見られるんですが、それを眺めていると、不思議な気持ちになります。 世界中の誰もが、同じ星空の下にいるのに、国や文化の違いがあり、一人ひとりが全く異なる人生を歩いている……とか、普段は考えたり、感じたりしないことに思いを巡らせてしまいます。でも、そういう時間がなぜかとても心地いいんです。モロッコの砂漠は、喧騒から離れて心の声に耳を澄ますことができる、特別な場所になっている気がします」
2015年の旅のあと、「そろそろまたモロッコへ」と思っていた頃にコロナ禍となり、再び旅する日を心待ちにしているという古牧さん。モロッコで購入したミントティー用のティーセットでお茶をするひとときは、モロッコへの思いを馳せる時間にもなっているという。 「モロッコのミントティーは、大盛りのミントの葉っぱを入れて作るんですが、お砂糖もたっぷり入っていてすごく甘いんです(笑)。だから本格的なモロッコ風ミントティーを作る機会はあまりないですが、ミントティーを飲む時は必ず、このティーセットでいただくようにしています。次回の旅を楽しみにしつつ、今、ここにあるモロッコの物たちと日々の暮らしを紡いでいます」 古牧ゆかり スタイリスト/ビジュアルディレクター。ファッション誌で活躍後、渡仏。パリに暮らす。帰国後『エル・ジャポン』のファッションエディターに。現在はフリーでファッション、インテリアのスタイリングや動画制作のビジュアルディレクションを手がける。本誌ファッション特集でも活躍中。 BY EMI ARITA