富の象徴の原点である田んぼと池。「池田」が表すのは日本の原風景でした
池田(いけだ)
「池田」は、「山田」とともに全国にまんべんなく分布している名字の代表です。 都道府県単位でみると、10位に入っているのは佐賀県と鹿児島県だけですが、全国33の都道府県で50位以内に入っており、特に集中している地域も少ない代わりに、極端に少ない地域というのもありません。 「池田」のルーツは地形です。もちろん池田という地名も多く、それらをルーツとする池田さんも多いのですが、そうした地名のルーツも地形なのでどちらかというと地形由来の名字といえます。 稲作を経済の基本としていた日本では、イネを育てる田んぼこそが富の原点でした。通常は川から用水路などで水を引きますが、雨が少ない年の場合、川だけだと供給が安定しないことがあります。そのため、確実に水を確保するために池を作って灌漑用に利用したのです。 その結果、「池」と「田」のある風景は、日本の原風景になりました。「池田」とは里山とともに生まれた名字なのです。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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