美しい棚田を守る取り組み『つながるシェア田』で稲刈り 元メジャーリーガーの岡島秀樹さんも参加し「いい経験」
おいしい米を食べて景観維持に貢献する取り組み『つながるシェア田』。2024年6月に熊本・山都町の田んぼで田植えをした人たちが、10月に稲刈りを行い棚田維持の活動に参加した。 【画像】『シェア田』の田植えの様子
人口減少や高齢化 失われつつある棚田
10月に熊本・山都町の菅地区のある田んぼで稲刈りが行われた。さかのぼること約4カ月前には、田植え体験が行われ、参加しているのは『つながるシェア田』という取り組みの参加者だ。 『つながるシェア田』とは、ひとことで言えば『棚田のシェア制度』。参加費を払うことで、この田んぼで作られた無農薬米が、生産者から定期的に届けられる。 参加した人は、「(田植えは)初めて。楽しい。こんな大変な思いをした上で米が届いているのだなと、次から感謝の気持ちが増す」と話す。 『日本の棚田百選』にも選ばれている山都町の棚田。しかし、人口減少と高齢化による農地の担い手不足で耕作放棄地が増加し、美しい棚田の風景が失われつつある。 そこで、『つながるキッチン』代表の中原麻衣子さんが、無農薬のおいしい米を食べ、山都町の景観維持に協力しようと、2015年から『つながるシェア田』という取り組みを始めた。
『つながるシェア田』で初の稲刈り
今では全国におよそ100組のオーナーがいるこの取り組み。今回、『つながるシェア田』初となる稲刈りを実施した。 元メジャーリーガーの岡島秀樹さんも家族と参加し、「力があるから結構バッといける。自分たちで田植えして稲を刈るのはバロメーターというか、習慣になるのでいい経験かなと思う」と話した。 台風や酷暑に見舞われたことしの田んぼだったが、米の出来は例年より良いそうで、シェア田生産者代表の松川陽一さんは「草刈りが大変で、例年より1~2回多く草刈りした。米が田植えしてできるまでを勉強してもらえると、苦労を分かってもらえるというか、うれしい。また、それを食べてもらえるとおいしいのではないかと思う」と話す。
「支え合いながら続けていきたい」
初めての稲刈りイベントを終え、主催の中原さんも「生産者に対する感謝の気持ちを育んでほしい」と話す。 また、中原さんは「こんなに頑張って刈ったのに『これがご飯茶碗1杯分にしかならないの?』という部分を含め、東京で米騒動ではないが、米が手に入らないという状況になった時に、それ(シェア田の米が届けられること)が当たり前ではないと(オーナーの)皆さんにも感じていただいたかな、というところで(稲刈りを)開催できてよかった。『つながり』という部分をこれからも大事にして、(オーナーと生産者で)お互い支え合いながら続けていきたい」と述べた。 全国のオーナーと山都町の生産者たちは、これからも『シェア田』でつながりを深めながら、山都町の景観を未来につないでいく。 (テレビ熊本)
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