「恋愛か、結婚か」の二極化へ...婚活サービス利用者の年齢が下がる背景
「恋愛と結婚は別」と考える若者たち
――山田さんの編著書『「今どきの若者」のリアル』(PHP新書)の論考「マッチングアプリと恋愛コスパ主義」には、かつて日本で主流だった学校や仕事関係でのつながりや友人の紹介といった「自然な出会い」が減少し、代わりにマッチングアプリという「積極的な出会い」が台頭してきたと述べられています。 佐々木さんは、同じコミュニティでの関係や知人の紹介といった出会いについていかがお考えでしょうか。 【佐々木】私はかなりこじらせている自覚がありまして(笑)、たとえば大学の友達のつながりで会った男性に対して、自分が相手に好意を抱いている宣言をどこですればいいのかわからないんです。 仕事の関係者や友人は明確にそのカテゴリに分けてしまうので、恋愛対象として捉えないように制御しているのかもしれません。その点マッチングアプリは、「恋愛をしてもいい場所」なのでわかりやすいですね。「自然な出会い」ってどうすればいいのか、山田先生にぜひ教えてほしいです。 【山田】そこが非常に難しいんです。いまはそもそも何が「自然な出会い」なのかが曖昧になっていますから。 また多くの人は「いずれは結婚したい」と考えているけれど、「恋愛と結婚は別」という意識もあるから、恋愛になかなか踏み出せない。リアルな恋愛で苦労するくらいだったら「推し」に夢中になっていたほうが楽だと考える人もいるでしょう。 【佐々木】そういう子は私の周りにも多いです。 【山田】40~50年ほど前の若者は未来に期待がもてたから、恋愛が将来の結婚や安定した生活につながると信じることができました。とくに団塊の世代(1947~49年生まれ)は、一回の恋愛でそのまま結婚するケースも珍しくなかった。つまり、恋愛の延長に結婚があって、両者が直結していたわけです。 でもいまの若い世代では、先ほど申し上げたように、恋愛と結婚を分けて考える人が増えてきた。ある結婚情報サービス業者によると、婚活サービスの利用者がとくに女性で低年齢化していると言います。 【佐々木】わかる気がします。出会いがないからではなく、「将来が不安だから若いうちから早めに婚活サイトに登録しておこう」と合理的な考えに基づいて行動しているのだと思います。