「恋愛か、結婚か」の二極化へ...婚活サービス利用者の年齢が下がる背景
真実の愛は見つけるのではなく、育むもの
【山田】婚活サイトより手軽に利用できるマッチングアプリでも、同様の傾向が進んでいるはずです。 【佐々木】だけど、山田先生の論考に書かれていたように、マッチングアプリでは多くの人と出会える半面、互いに「もっといい人がいるかも」と「代替可能性」を意識してしまう。 一方でホストクラブは「お金を払う」という明確な線引きがあるので、むしろ安心するという人もいます。恋愛のきっかけはさまざまですけど、結局は「いかに互いの関係性を積み上げていけるか」が大事なのかもしれません。 【山田】私はカリフォルニア大学バークレー校の研究員だったときに、社会学者のナンシー・チョドロウさんに「恋愛は非合理的なものであり、自己利益をなげうってでも固着するもの」と習いました。 かつての日本では非合理的に進んだ恋愛でも、安定した結婚という合理的なものに回収される安心感があった。しかしいまはそのモデルが揺らぎ、「将来性を諦めて恋愛に固着するか」「将来のために恋愛感情を捨てるか」に二極化しているのではないでしょうか。 【佐々木】たしかに......。私はたとえ付き合えなかったり別れたりしても、あとで思い返して「相手に幸せでいてほしい」と思えていればそれでいいタイプです。 【山田】多くの人は永続する関係を望むのでしょうが、チワワさんは達観していますね(笑)。 【佐々木】恋人や夫婦という明確な関係でなくても、相手への思いは永続するかなと。やっぱり真実の愛は見つけるものではなく、育むものなのだと思います。
山田昌弘(中央大学文学部教授),佐々木チワワ(ライター)