半額でタクシー相乗り…GOが日本のライドシェア界隈に一石、“米国型”で東京・湾岸エリアから普及目指す
■ 車両を増やすより“相乗り”でタクシー不足解消 タクシーやライドシェアの供給量が増えても、渋滞が発生すると輸送の効率化が下がり、結果的にタクシー不足を感じる人が増えてしまう。 実際、GOが長野県軽井沢町で今春から始めた事業では、夏季観光シーズンにタクシー、ライドシェア、さらに近隣地域のタクシー事業者からの応援によって車両の数を増やしても、主要道路である国道18号線などの慢性的な渋滞によって実質的なタクシー不足が生じた事例がある。 こうした2つの理由を背景に今回、相乗りサービスのGO SHUTTLEを発案したというのだ。 相乗りサービスといえば、電話やスマホアプリを使うオンデマンド交通が全国各地で普及が進んでいる。 一方、GO SHUTTLEは、通常時はタクシーとして運用しつつ、GOが相乗りサービスの需要が高まっていると判断した時間帯に、同じ車両を相乗り運行へと切り替えるという、いわばタクシー/相乗りの“ハイブリッド方式”を導入した点にある。 オンデマンド専用の車両やアプリを設定するのではなく、GOの通常サービスを拡張することで初期投資とランニングコストを抑制できるビジネスモデルを目指す。 運用場所は、タワーマンションやオフィス街から東京駅などへの移動需要が見込まれる東京湾岸エリアだ。時間帯は平日朝7時から夜10時まで、休日は朝7時から午後2時までの間で、15台を導入して始める。1回あたりの移動想定距離は2~8km。乗降車の時間の効率化を考慮して、予約時に座席が指定される。
■ ほぼ半額かつ「遠回り」を感じない 料金は、同じルートをタクシーで移動した場合の約5~6割とかなり安い。GOのシミュレーションによれば、目的地までの移動距離は、相乗りした場合、寄り道をしない通常のタクシーと比べて最大1.2~1.3倍程度になるという。 そのためGOは、ユーザーとしても料金が安いから遠回りされた、といった気持ちにもならないはず、と想定している。 ライドシェアの場合、料金はタクシーと同じなので、GO SHUTTLEの割安感が目立つことになる。 料金設定については、「一般乗用旅客自動車運送事業における相乗り旅客の運送と、旅行業法の双方を勘案したもの」(中島社長)という。 また、仮に予約者が1人でも料金は相乗り料金を適用する。 こうしたGO SHUTTLEの仕組みは、アメリカなどで空港と自宅やホテルを結ぶ事業として90年代頃から広く普及しており、筆者も全米各地で数多く利用していた。料金はタクシーに比べて場所によっては半額以下だった。 それが、2010年代半ばになり、自家用車をタクシーのように使うライドシェアのLyft(リフト)やUber(ウーバー)が登場した。料金はタクシーの2~3割安で、相乗りすることでさらに料金が下がる仕組みが導入されている。 つまり、GO SHUTTLEは、運行がタクシー会社という点を除けば、利用者側から見るとアメリカ型のライドシェアに近い存在となる。