半額でタクシー相乗り…GOが日本のライドシェア界隈に一石、“米国型”で東京・湾岸エリアから普及目指す
■ まず湾岸エリア、いずれ他の地域にも GOとしては当然、GO SHUTTLEの収益性に対する予測を立てているが、黒字化についてじっくり市場変化の様子を見る構えだ。 他の事業でも立ち上げ期にかなり苦労したが、改良を重ねることで事業が軌道に乗ったケースがあるからだという。 そうした知見を活かしながら、東京湾岸部をベンチマークとして、類似する需要が考えられる地域、またはまったく反対の状況がある地域などについてシミュレーションしていく計画だ。実用データを積み上げることで、前述の軽井沢町など観光地での対応も自ずと見えてくるとの見解も示した。 記者会見には全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗氏も列席した。 川鍋氏といえば、ライドシェアの日本導入に対して国の規制改革推進会議でタクシー・ハイヤー業界を代表して発言し、また1月上旬には東京ハイヤー・タクシー協会の会長の立場として「日本型ライドシェア」を発表するなど、ライドシェアの動向についてよく知る人物だ。 筆者から川鍋氏に「この1年間は、タクシー業界にとって過去最大ともいえる激動の時期だったと思うが、これまでの流れを振り返ってほしい」と聞いた。 これに対して、川鍋氏は「きょうはGO SHUTTLEに関する会見であるので」と前置きをしたうえで、「(この1年でタクシーに関するさまざまな)規制緩和が進んだ。(タクシー事業者として)やれることが増えた。GO SHUTTLEについても、以前実施された規制緩和に(ITなどの)技術が追いついたことで実現した」と発言するにとどめた。 昨年度の規制改革推進会議・地域産業活性化ワーキング・グループでは、ライドシェアについて抜本的な変革を伴うことも想定した、いわゆる「ライドシェア新法」の必要性についても活発な議論があった。 だが、今年度はライドシェアに関しては自家車活用事業等の成果報告と、それをベースとした雨天時やイベント開催時の柔軟な運用を実施可能とするなど、現行法上における修正が主だった動きで、ライドシェア新法の議論は目立たない。 また、国土交通省では「交通空白」解消本部を7月に立ち上げ、11月には同本部における官民連携プラットフォームでの議論に入った。 この枠組みの中でも、ライドシェアの実効性について現場の声を重視しながら、日本としての現実解を目指しているところだ。 今後、各方面での議論が「ライドシェアありき」ではなく、「地域のありかた」を明確にして進むことを期待したい。 桃田 健史(ももた・けんじ) 日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。 ◎Wikipedia
桃田 健史