岡ちゃん“秘蔵っ子”が湘南を勝利に導いた理由とは?
大分・柳ヶ浦高まではFWを務めていた身長180cm、体重69kgの小野田の体には、J1でも通用する可能性を秘めたスタミナと縦へのスピードが搭載されていた。 曹監督は[3-4-2-1]システムを長く採用している。そして、最終ラインの左右のストッパーには対人守備の強さに加えて、ボールを前に運ぶ力と縦へ仕掛ける力を求めている。まだまだ荒削りながらも、指揮官の目にはワールドカップ・ロシア大会の代表に名前を連ねた愛弟子で、ベルマーレ時代は右ストッパーを務めた遠藤航(現シントトロイデンVV)と小野田がダブって見えた。 「小野田はボディコンタクトもそれほど弱くない。どちらかと言えば航に似ている。航の方がもうちょっとゴツゴツした感じがあるけど、スピードは航よりもある」 ただ、今治としても守備陣の主力へ成長した小野田が抜ける穴は、計り知れないほど大きくなる。四国サッカーリーグから順調に昇格を果たしたJFLでは、2017シーズンは6位、昨シーズンは5位に終わり、成績面でのJ3への昇格条件となる4位以内を満たせなかった。 3度目の正直とばかりに、岡田氏は今シーズンへ向けて背水の陣を敷いていた。そうした状況で、ホープの小野田を快く送り出してくれた。実は17日はJFLの開幕節であり、今治は敵地でFC大阪と0-0で引き分けていた。それでもベルマーレと小野田の試合結果や内容をチェックし、連絡を入れてくれた岡田氏へ、曹監督も感謝の思いを新たにしている。 「岡田さんは常にプレーヤーズファーストで、要は選手が(成長につながる)経験を得ることが一番大事だという視点でものごとを考えている。岡田さんを含めて、今治さんの英断には本当に感謝していますし、小野田が頑張ることで他の選手のモチベーションもあがり、今治の昇格につながるのならば僕も二重に嬉しくなりますよね」 J1クラブの一員として迎えた今シーズン。YBCルヴァンカップで2戦続けて先発フル出場した小野田は、リーグ戦でも鹿島アントラーズとの第3節でベンチ入り。雰囲気をしっかり味わい、経験値として脳裏に刻んだなかで、故障者が出たこともあってベガルタとの第4節で先発を射止めた。