【箱根駅伝】高速化の流れさらに加速 1万メートル「27分台」認識も変化「意味がない」/連載4
<101回目のプロローグ(4)> 101回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)まで1週間を切った。見どころを「101回目のプロローグ」と題し、全6回連載で紹介する。 【一覧】箱根駅伝全21チーム戦力チャート ◇ ◇ ◇ 節目の100回目を数えた前回大会の箱根駅伝は、高速化の流れを強く印象づけた。総合優勝した青学大のタイムは従来の記録を2分以上更新する10時間41分25秒。計9校が10時間台をマークしたことも特筆事項だった。1年が経ち、状況はさらに加速しそうだ。1万メートルの持ちタイム27分台の選手は、5大会前の20年は5人だったが、今回は過去最多20人に増えた。 背景には何があるのか。青学大の原晋監督は「各大学の指導者が、トレーニングメソッドを体系化できるようになった」と話す。選手の能力自体も年々向上しているとし「昔の箱根の映像を見ると、選手の体つきが明らかに違う」。中大の藤原正和監督も「選手の手足が長くなり、腰高の選手が増えてきた」と実感を込める。重心が高ければ接地時間は短くなり、ロスの少ないランニングフォームにつながる。高性能シューズの影響もあり、全体的なレベルが向上。トップクラスの基準が上振れしている。 1万メートル27分台は大学トップランナーの証-そういった認識は変わりつつある。藤原監督は「もう27分台という数字自体に意味がない」との見解を示す。 選手の意見も同様だ。27分35秒05で日本人2位の好タイムを持つ駒大の篠原倖太朗(4年)は「27分59秒と28分00秒の境目はもう大きくない」。27分台をマークするためのラップタイムが確立されてきたと感じている。「5000メートルを14分近くで入り、後半13分台で上がれば、27分台に乗せられる。27分台の出し方を多くの大学が見つけ出したのでは」と分析する。 2年ぶりに王座奪還を目指す駒大は、1万メートル上位10人の平均タイムが実は最下位。1万メートルと駅伝の関係性について篠原は「箱根だと特に、ロードで10キロ走ることとトラックを25周することは別物」とみる。その上で1万メートルの記録を「実力が拮抗(きっこう)した選手を選ぶ際の判断材料になるかな、程度の感覚」と重視していないとした。 見解はいろいろあるが、確実に高速化が進む第101回でどんな記録が生まれるか。【奥岡幹浩】