兵庫県の斎藤知事に関する職員アンケートは信頼できない? 3つの言説を検証【ファクトチェックまとめ】
年代が不自然に偏っている?【不正確】
SNS上には「回答した年代が不自然に偏っている」「50代がめっちゃ多い」といった指摘があった。また、「兵庫県職員全体の年代別の割合とアンケート調査対象職員の年代別割合が一致しない」との声もある。 アンケート結果によると、回答者は50代が37%で、年代別に見ると最も多い。 議会事務局の説明によると、このアンケートは警察職員や教職員は対象になっておらず、行政職7231人を中心に、会計年度任用職員、非常勤職員(アルバイトなど)を加えた約9700人が対象だという。 議会事務局によると、行政職員は過去の採用抑制などもあり、もともと50代が37%。会計年度任用職員や非常勤職員は比較的若いためアンケート対象の中で50代が占める割合はやや下がる。 これらを踏まえて回答者の50代が37%となることについては「年齢が高い職員は職位も高いため、知事との接点が多かったのではないかと推測する。アンケート結果と矛盾はないと考える」(議会事務局)と説明する。 つまり、アンケート対象者の中で50代が占める割合がもともと高い上に、役職の関係で知事との接点が多くアンケートに答えやすい世代が50代だったということで「年代が不自然に偏っている」という言説は不正確と判定する。
まとめ
県議会の百条委による県職員アンケートに関しては様々な言説が拡散し、その信頼性を疑問視する声がある。 しかし、それらの言説のうち「議員による私的なアンケート」や「回答した年代が不自然」という指摘は誤り又は不正確だ。一方で「複数回の回答ができる」という指摘は正しい。 「信頼性がない」というアンケートに対する指摘に関しては、これらの事実に基づく個々人の評価なので、ファクトチェックの対象にはしない。検証対象の選び方を含むファクトチェックの手法に関しては、以下に公開している。(関連記事でご覧ください)
あとがき
斎藤兵庫県知事のパワハラなどについては、様々な情報が拡散しました。その中には、根拠のないあるいは誤った情報も少なくありませんでした。 斎藤知事は「厳しい叱責をした」ことなどは認めています。百条委は元県民局長の文書に記載されているパワハラなどの7項目の真偽を調査しています。アンケートだけでなく、知事を含む関係者への聞き取りなども考慮してパワハラなどの疑惑についての結論を出すことになります。 偽・誤情報、根拠のない情報に関してJFCは様々な検証記事を出しています。また、選挙時の偽・誤情報について分析した解説記事も公開しました。参考にしてください。(関連記事でご覧いただけます) 「(斎藤知事の)パワハラはなかった」と百条委の委員長が発言? 前後の文脈を無視した切り取り動画【ファクトチェック】 斎藤前兵庫県知事はパワハラしていない? 職員の4割が見聞き、本人は厳しい叱責など認めて「必要な指導」【ファクトチェック】 斎藤氏再選の裏にSNS・動画 投票の参考情報で新聞テレビ上回る 偽・誤情報だけでは語れない兵庫県知事選・前編【解説】 「斎藤氏の支持者がデマを熱狂的に信じた」という言説の落とし穴 兵庫県知事選・後編【解説】 検証:宮本聖二 編集:藤森かもめ、野上英文、古田大輔 判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。