難易度は高いが決まると快感!! エアーフローメーターを使ったFCRキャブの同調調整
2気筒や4気筒エンジンに装着された2連、4連キャブレターのスロットルバルブが、スロットル操作によって同じ量だけ開閉するように動きをシンクロさせる作業が「同調調整」です。市販車に多い負圧キャブレターの場合、バタフライバルブを連携させるリンクのアジャストスクリューで調整するのが一般的ですが、ピストンバルブキャブの場合はどのように調整すれば良いでしょうか。ここではケーヒンFCRキャブレターを例に、同調調整の手順を解説します。 【画像】キャブの同調調整手順をギャラリーで見る(10枚) 文/Webikeプラス 栗田晃
スロットルバルブを取り外した後は必ず同調調整が必要
2気筒や4気筒エンジンのキャブレターのスロットルバルブの開度がバラバラだと、それぞれのシリンダーに届く混合気の量が揃わず、エンジンはパフォーマンスを発揮できません。そのため、マルチキャブレターにとってスロットルバルブの同調調整は重要です。 新車で販売されるバイクは、製造時に同調調整を行っています。しかしつながったキャブレターボディを分割した場合は同調がずれてしまうので、再調整が必要です。 CVキャブレターの場合、スロットル操作によってバタフライバルブが開閉しますが、バルブの作動軸となるスロットルシャフトは各キャブレターボディごとに分割されて付いています。そして各スロットルシャフトはリンクを介して隣のボディと連結されていて、ひとつのボディに取り付けられたスロットルケーブルを操作することで、4つのバタフライバルブが連動して開閉します。 こうして作動するCVキャブレターの同調調整は、リンク部分のアジャスターによって隣り合うバタフライの開閉具合を相対的に合わせて行います。その際にキャブレター本体またはインテークマニホールド、またはシリンダーヘッドに負圧取り出し用のニップルがあれば、バキュームゲージを取り付けて吸入負圧を測定し、アイドリング時の負圧を合わせて調整を行います。 一方、スロットル操作によってスロットルバルブをダイレクトに開閉するピストンバルブ式キャブレターの同調調整は、隣同士のバルブ開度を揃えるのではなく、各ボディごとに行います。2ストローク多気筒で、スロットルケーブルが各キャブレターに直接つながっているタイプは、それぞれのスロットルバルブ開度を合わせて同調調整を行います。 4連タイプのFCRキャブレターも同様です。4連(または2連)タイプのFCR(CRやTMRも同様です)は1本のスロットルシャフトが4つのボディを貫通しており、スロットルバルブを開閉するリンクアームは、スロットルシャフトに直接取り付けられています。この点で、アジャスター付きリンクでつながっているCVキャブレターとは異なります。 こうした構造で同調調整をどのように行うのかというと、リンクアーム上部の同調スクリューと同調ナットによって、スロットルバルブの位置を上下に変えることで行います。