しっかり食べた方がやせるって本当？専門家が語る朝食の意外な効果とは
体内時計のスイッチオンに効果的な朝食
健康維持のためには朝食をしっかり取ることが大切です。しかし、「朝はギリギリまで寝ていたい」「ダイエットをしている」といった理由で、朝食を抜いたり、軽めに済ませたりしている人も少なくないのでは。体内時計と食事の関係を研究する「時間栄養学」の専門家で、愛国学園短期大学准教授の古谷彰子さんに、朝食の重要性や、簡単で効果的な朝食の取り方について聞きました。 「朝に食事をして栄養を取ることはとても大切」と語る古谷さんは、その理由の一つとして、「体内時計のスイッチを入れるため」と説明します。 体内時計には、朝起きて夜眠くなるという一定のリズムを刻む働きがあります。体内時計のスイッチが入ると、およそ14時間後、脳にメラトニンという眠たくなるホルモンが出て、眠りを促します。「よく眠れるとシャキッと目覚めることができるので、朝に体内時計のスイッチを入れることはとても大事なのです。夜に自然に眠たくならないという人は、体内時計のスイッチがきちんと押されていない可能性があります」と古谷さん。
体内時計のスイッチを入れるには、三つの方法があります。日の光を浴びること、体を動かすこと、そして、朝食を取ること。 「日の光は、主に目を通して視交叉上核（しこうさじょうかく）と呼ばれる脳細胞群に指令を出し、全身の細胞に朝だと認識させます。これに対して運動と食事は、細胞に直接的に朝だと伝えることができます。生活環境などの問題で、日の光や運動でスイッチを入れることが難しい人でも、朝食なら実践しやすいと思います」 古谷さんによると、体内時計のスイッチを入れるための、効果的な朝食の取り方があります。「食事量は『朝4：昼3：夜3』が理想です。しかし、現実的には『2：3：4』になってしまいがちなので、まずは、『3：3：3』を目指しましょう。夕食の一皿を朝に持ってくるとか、いつもの朝食にちょい足しをするといいバランスになると思います」 パンやチーズ、肉、魚などをバランスよく食べて、体や脳のエネルギー源となる糖質や、タンパク質、脳を活性化するDHA（ドコサヘキサエン酸）、EPA（エイコサペンタエン酸）などの栄養素をしっかり取り入れることも重要です。しかし、手の込んだ朝食を毎日作るのは難しいという人も多いでしょう。 そこで古谷さんは「『手作りにこだわらず、栄養バランスがいい朝食であればいい』というマインドに変えることが大事。肉や魚を焼くのが大変なら、缶詰の魚にチーズを混ぜれば十分です。朝食を全く取らないという人は、例えば、『パン＋チーズ＋トマト』のように組み合わせて、調理をしない“出すだけ食材”の朝食から始めてみてください」とアドバイスします。 ダイエットのために朝食を抜く人も多いですが、古谷さんは逆効果だと注意を促します。「朝食を抜いてしまうと、一日の最初に胃の中に入る食事が昼食となり、体はその時間を朝だと認識するため、体内時計がずれてしまいます。また、朝は糖を取り込むエネルギー代謝が一番高い時間帯でもあるので、朝の食事には、その次に取る食事以降の血糖値上昇を抑える働きもあります。そのため、朝食を取った方がやせやすい体作りにつながるのです」
