100台近くのアバルトが富士に集結 オーナー向けドライビング・アカデミー開催
人気のドライビングイベント、4年ぶりの開催
インストラクターから直接ドライビング指導を受けられるこちらのイベントは10年以上続いており、今回は4年ぶりの開催となる。 【写真】富士スピードウェイを疾走するサソリづくし (294枚) この日、北は盛岡から南は北九州という全国各地より、幅広い年齢層のサソリ使いが集まった。参加はネットによる応募で、申し込み先着順。カテゴリーは3クラスで、クラス分けは申込時の自己申告による。
腕っこきが疾走 テクニコ・クラス
TECNICO(テクニコ)クラスは、サーキット走行経験済み、もしくは同アカデミー初参加者向けであるBASE(バーゼ)クラス修了者が対象で、この日は27台参加。インストラクターの指導を受けながらスラロームや先導走行を行い、ワンランク上の技能習得を目指す。 参加者は、レーシングスーツを纏ってスタッフとあいさつを交わす常連さんや、オーナー歴2年弱ながら経験十分の自動車系専門学校生など、キビキビ走る強者ばかり。移動や隊列を整えるのが素早く、プログラムがどんどん前倒しに。その分、走行本数や回数が増え、この日の目玉のひとつであるアバルト500eの試乗時間も増えていた。 さらに、走行風景を見学に来ていたステランティス・ジャパン打越晋社長が、急遽プレスの枠でコーナリング走行に参加。気付かず見ていた参加者からは、「今の、社長さんだったの? さすが!」と驚きの声が上がる腕前だった。
運転愛が溢れる バーゼ・クラス
一番人気のバーゼでは、ベーシックな運転スキルの学習を望むドライバーに、すべてのドライビングの礎となる内容を網羅して提供するカリキュラムを受けられる。 46台の参加車のオーナーは、テクニコよりもさらに老若男女入り混じっている印象。「こういうイベント自体が初めてで緊張します」と話し、スラロームの順番を待つ車列では恐る恐るクルマを進める参加者の姿もあったが、皆、一様に高揚した表情だ。 他の参加者の走行を身を乗り出すように眺めたり、走行後には拍手を送り合ったりと、和気あいあいとした雰囲気だった。
女性のためのスコーピオンナ・クラス
人気の女性向けレッスン、SCORPIONNA(スコーピオンナ)には16名が参加。ドライビングポジションといった運転の基礎からスポーツ走行のコツまでレクチャーしてくれる。「自分の運転スキルを上げるのはもちろん、大好きな愛車のポテンシャルを自分の手で引き出せることが嬉しい」という声も聞かれた。 スコーピオンナのインストラクターとして、2019年7月筑波サーキットで行われた第一回より参加しているりんごちゃんことレーシングドライバーの石川紗織選手によると、スコーピオンナ参加者の結びつきは非常に強いという。 参加後も連絡を取り合い、さらには九州で同窓会までが実施された。石川選手は、「ここまで人と人を繋げるクルマはないんじゃないかと思います」と声を弾ませる。 さらにこの日は、女性レーサーと気軽に話ができる貴重なチャンスということで、「ラリーに出てみたいのだけど」という相談する参加者も。 アバルトをきっかけに、女性のモータースポーツ・カルチャーが広がりを見せている。
500eの乗り味もチェック
また、この日参加者は500eでの試走も実施。愛車との乗り味を比較し、新たな選択肢に加えるべく、担当者にさまざまな質問をぶつける姿が見られた。 ステランティス・ジャパンによると、このドライビング・アカデミーは、日本でのアバルト人気を踏まえた独自のイベントとのこと。今後の開催にも期待したい。
神村聖(撮影) AUTOCAR JAPAN(執筆)