アメリカで法案成立 賢いタコは“養殖NG”に 動物らしく生きる「アニマルウェルフェア」と人間の食はどう向き合うべきか
アメリカ・カリフォルニア州で、来年1月からタコに関する新たな法律が施行される。食用目的の「養殖禁止」だ。タコは非常に知的で問題解決能力に優れ、痛みやストレス、恐怖などを感じる生き物だとし、閉じ込められた環境に置かれるとお互いが攻撃的になるタコを養殖するのは、虐待にあたるということだ。 【映像】日本でも料理に使われるタコ 世界的にも動物が健康でストレスなく生きるための福祉「アニマルウェルフェア」が広がりを見せる中、日本でも人気の食材であるタコを通じて、人間の食との関係をどう考えるべきか『ABEMA Prime』で議論した。
■海の生き物ではイルカと同レベル 賢い「タコ」の特性
タコは非常に知的で好奇心が強い生き物だとされている。実家がタコ漁師で元明石市長・弁護士の泉房穂氏は「タコは本当に賢い。海の生き物ではイルカとタコが双璧と言われるぐらい。明石のタコをなんとか展示しようとしたが難しくて、脱走した。実験でもタコの目の前で人間が小瓶の蓋を回してあげると、それを見てタコが回して開ける」と知性の高さを説明した。 さらにタコはストレス・恐怖・喜びなどを感じるとされており、これらの理由からタコを養殖することが虐待にあたり、新法では食用目的のタコの養殖を禁止とし、また養殖タコの販売・所持・輸送も禁止した。「タコ養殖NG」は今後も広まり、ワシントン州では法が3月に成立、6月に施行。ハワイ州でも1月に法案が提出された。またアメリカ全土を対象とした連邦法も、7月に法案が提出されている。 アニマルウェルフェア国際協会会長の上野吉一氏は「最近の科学的な研究で、タコは非常に繊細な動物で、知能が高いというのはある。ある意味チンパンジーやイルカがそういう運動の対象、シンボルに使われてきたものを、もっと身近でソフトな抵抗感のないようなものを使った。そういう意味で戦略的なんじゃないか」と、今回の法案に対する印象を述べた。法案制定の背景には、アメリカ水産業界を保護する思惑も見えるとし、養殖でアメリカのタコ漁が打撃を受けるという懸念、さらに感情に訴えるため「タコは賢い」が宣伝に利用された側面があるとした。