最悪来年1月から再び興行自粛も…なぜボクシング界のガイドライン違反はなくならないのか?
プロボクシングは7月に無観客から興行を再開。現在も収容人数の50%に観客動員を抑えるなどの対策を行っているが、興行を管理、統括するJBC、JPBAの感染予防に対する意識と実際に運営する一部のプロモーターやジム関係者との意識のギャップが埋まらないという現状がある。東西のジムでクラスターが発生した案件があるにもかかわらず感染予防対策を甘く見ている節が見受けられるのだ。 危機感を抱くJPBAの新田渉世事務局長も、「現状のままでは、来年はないというくらいの覚悟でいる」とコメントした。 飛沫感染のリスクがあるために禁じられているスポーツの会場での大声を出しての応援は、今季プロ野球の現場でも散見した。必ずスタッフが注意に現れたが、それでも止めない心のないファンもいた。 ファンへの啓蒙は難しい作業ではあるが、運営する側がそれ以上に感染予防を徹底する覚悟と意識がなければ改善は難しい。ましてボクシングの会場はプロ野球と違い狭く閉ざされた空間である。 新型コロナ感染の初期段階で、大阪のライブハウスで出たようなクラスターが、もしボクシング会場で発生した場合、国内のボクシングが完全にストップしてしまう危険性がある。JBC、JPBAの感染予防対策の動きは、ある意味、プロ野球以上に厳しく丁寧だが、それは責任感と危機感の裏返しなのだろう。 またPCR検査体制の見直しも行われることになった。 これまでは前日にPCR検査を実施していたが、そこで陽性反応が出た場合、興行開催の対応に苦慮するため、2日前に実施されることなった。高山―小西戦では、陽性反応の出た小西が再検査で陰性となり「偽陽性」であった可能性も指摘されているが、安河内事務局長は、「前日検査で陽性反応が出た場合、あらゆることへの対応が難しく興行主のダメージも大きい。前々日の検査であれば偽陽性にも対応できる」と検査の前倒しを決めた。 選手は2日前からホテルに隔離されることになり、ホテル代などのプロモーターの経済的負担は増すが、協会サイドは了承した。また世界戦に関して3度、日本タイトル及び東洋太平洋、WBOアジアパシフィック・タイトルについては、2度のPCR検査が実施されることになった。 ある意味、ボクシングを守るための“緊急事態宣言”。ボクシング界全体が手をつなぎ共に新型コロナと戦う意識を高めなければ、この難局を乗り越えることはできない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)