【解説】初の発表 南海トラフ地震臨時情報(調査中)とは… 2週間後「通常の生活」という選択も
8日午後4時43分ごろ、宮崎県で最大震度6弱を観測する強い地震がありました。気象庁によりますと、震源地は日向灘で、震源の深さはおよそ30km、地震の規模を示すマグニチュードは7.1と推定されます。 【画像を見る】臨時情報 複雑な仕組みと判断に迷いそうな発表文を専門記者の解説 この地震に関して、気象庁は運用開始から5年、初めて南海トラフ地震臨時情報(調査中)を発表しました。南海トラフ巨大地震との関連を調べます。 この臨時情報が発表されたとき、私たちはどう行動すればいいのでしょうか。
「通常と異なるゆっくりすべり」前提条件がもう難しい
まず臨時情報が出される「前提条件」の段階で、その“難しさ”が漂います。「臨時情報」の第一段階は「調査中」という名称ですが、それが出るには、次の2つの現象のいずれかが起きることが前提条件となっています。 ① 想定震源域またはその周辺で、M6.8以上の地震の発生 ② 想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべりが発生した可能性 8日の地震はマグニチュード7.1と推定されています。
次の段階で、さらに複雑な場合分け
さて「調査中」の間に、最短2時間で以下の3つの事象のいずれかが起これば、いよいよ本番の「臨時情報」がだされます。ただし、「臨時情報」がでたからといっても、すぐに地震が起きない可能性もあることを十分に頭に入れておいてください。 ① プレート境界のM8.0以上の地震発生 ② M7.0以上の地震(前震)の発生 ③ ゆっくりすべりの観測 想定震源域内の東か西でM8クラスの巨大地震が発生した場合(①)は、いわゆる「半割れ」のケースで、臨時情報の『巨大地震警戒』が出ます。この場合、対象地域の人には「日頃からの地震への備えを再確認」「事前避難対象地域の住民は1週間の避難」などの指示が出されます。とはいえ、「次の地震」がいつ起きるのかはわかりません。過去には、32時間~2年後に発生した例もありますが、明確にはわからないのが現状です。 さらに難しいのは、②と③のケース。この場合は、臨時情報の『巨大地震注意』が出され、対象地域の住民には、もっぱら、「日頃からの地震への備えを再確認」とだけ指示されます。住民らは、地震がいつ起きるのかわからない「不安な気持ち」を抱きながら、日常の生活を送ることになります。