【解説】初の発表 南海トラフ地震臨時情報(調査中)とは… 2週間後「通常の生活」という選択も
地震が発生せず、2週間後「通常の生活」へ
そして、「臨時情報」が出されてから2週間、次の地震が起きなければ、これらの措置は“解除”され、通常の生活に戻ることになります。しかし、その際には以下のような注意が発表されます。 【地震の発生に注意しながら通常の生活を送る。ただし、大規模地震が起きる可能性がなくなったわけではないことに留意】 つまり「巨大地震は今後、起きないかもしれないし、起きるかもしれない。住民のみなさまは注意して生活してください」という主旨なのです。ほんとうに臨時情報が”解除”されたのかどうか、多くの国民は、おそらく判断に迷うことになるでしょう。
専門家「空振りも多いのではないか」政府関係者「素振りだと思ってほしい」
「臨時情報」の“やっかいさ”は、その仕組みだけではありません。先にも書きましたように、この情報は、同じような「前提条件」が発生すれば、南海トラフ地震が起きるまで何度でも出ることになります。専門家は「野球でいう空振り(=巨大地震が起きないケース)の結果に終わることも多いのではないか」と予想しています。 南海トラフ地震の防災対策に詳しい名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「半割れのケースで、過去の事例をみると、7日以内に次のM8クラス以上の地震発生するのは、十数回に一回程度で、当然、空振りはある。空振りが前提で、その情報を活用することで、被害を減らせるという理解が必要」と話します。 一方、政府の関係者は、「空振り」を承知の上でこう話します。「『空振り』ととらえるのではなく『素振り』ととらえて、対応してほしい」と話します。 国難を及ぼす可能性が高い「南海トラフ地震」の発生が確実に迫ってきている中で、これまで地震予知研究などで培ってきた科学的知見を、少しでも防災・減災に引き続き役立てようと、考えられたのが、この「臨時情報」です。 地震の発生を事前に知る「予知」に代わって、地震の発生に結び付くかも知れない「前兆(=前震やゆっくりすべり等)」現象をとらえようという試みと知ることが必要です。