日産スカイライン2000ターボGT-E・S(昭和55/1980年4月発売・HGC211型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト111】
捲土重来をかけてDOHC勢に挑む、ターボでGTの走りを取り戻した”ジャパン”
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第111回目は、ターボエンジンの分厚いトルクが強烈だった、日産スカイライン2000ターボGT-E・Sの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】先発のセド/グロのターボから圧縮比を若干上げ、同時にノックセンサー装着でノンターボ時のパワーとドライバビリティ向上の両立を図った。(全8枚)
昭和52(1977)年8月、スカイラインは初代モデルから数えて5世代目にフルモデルチェンジされた。その後、「ジャパン」という愛称で呼ばれた5世代目スカイラインに、ターボチャージャーを備えたスポーツバージョンのターボGTシリーズが追加されたのは、3年後の昭和55(1980)年4月のことだった。 日産にとって量産車種にターボの技術を導入したのは、セドリック/グロリア、ブルーバードに続き、このスカイラインが3車種目の試みであった。当然、スカイラインファンも熱い視線を注いだ。 ターボGTに搭載されたエンジンは、セドリック/グロリアのそれと共通のL20ET型1998cc直列6気筒SOHC。燃料供給はEGI(電子燃料噴射装置)により、7.6という圧縮比から145ps/5600rpmの最高出力と21.0kgm/3200rpmの最大トルクを得ていた。 分厚いトルクを発生するターボは魅力的で、 DOHC戦略でセリカに後れを取ったスカイラインは汚名を晴らし、これ以降はターボが主役の座に就く。 また、セドリック/グロリア、そしてブルーバードでは組み合わされるトランスミッションはいずれも5速MTのみだったが、スカイラインでは3速ATとの組み合わせも実現している。 ターボGTに設定されたボディは2ドアハードトップと4ドアセダンの2種類。人気はもちろんよりスポーティな外観を持つ2ドアモデルに集中したが、4ドアセダンも卓越した実用性と性能を兼ね備えるモデルとして高く評価されていた。 事実、スカイラインの4ドアモデルは、このモデルの後継車種となった6世代目のR30型スカイラインにも継承され、さらには7世代目のR31型スカイラインでは、当初4ドアのみで販売が行われたのだから、その人気は相当なものであった。 スカイライン「ジャパン」の中でもGTモデルには伝統のセミトレーリングアームのリアサスペンションが継承されてきた。愛のスカイラインGT(3世代目)、ケンメリGT(4世代目)で培われてきた4輪独立式を熟成させたもので、機敏なコーナリング性能と抜群のロードホールディング性能を実現。セミトレのリアサスは、昭和55(1980)年6月に追加された、Z20E型4気筒を積む2000TIシリーズにも採用された。 もっとも、このターボGTでも1230㎏の車重は大きなハンデで、当時市場に導入されていたライバル 車種、たとえばセリカ2000GTなどと比較すると、実際に体感できるスパルタンな感覚は若干足りない印象が強かった。
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