ドラゴンボール作者・鳥山明さん急逝、死因の「急性硬膜下血腫」の原因・症状を医師が解説
急性硬膜下血腫の予後や後遺症
編集部: 急性硬膜下血腫の予後について教えてください。 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫の予後は、以下の要素によって左右されます。 1つ目は症状の重篤度です。急性硬膜下血腫の症状は、場合によっては失神・意識障害・痙攣など重篤なものとなるため、症状の重篤度が高いほど予後は悪くなる傾向にあります。 2つ目は治療の素早さ・適切さです。急性硬膜下血腫の早期発見・適切な治療が行われた場合、予後は比較的良好となることが多いです。しかし、適切な治療が遅れた場合、脳に重大な障害が残る場合もあります。 3つ目は患者の年齢や基礎疾患です。高齢者や基礎疾患のある患者の場合、予後が良くない傾向にあります。 4つ目は病変の大きさ及び位置です。血腫の大きさや位置によって、脳への圧迫や損傷が生じ、予後に影響を与える場合があります。 編集部: 急性硬膜下血腫の余命について教えてください。 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫の余命は、一般的に入院時の意識障害の程度によって異なります。なお、昏睡状態で重症度が高かった場合の死亡率は70%程度です。また、脳の損傷が強い傾向にあることから、受傷後半年~1年経過すると症状は固定し、それ以上の回復は見込めず後遺症となって残るケースが多いです。 編集部: 後遺症が残ることはありますか? 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫の治療が適切に行われた場合、後遺症を残さずに完全な回復を期待できることが多いです。しかし治療が遅れた場合や、病変が大きかった場合は、後遺症が残る可能性もあります。 具体的な後遺症は、脳機能の障害・運動麻痺・感覚障害・認知症・言語障害などです。また病気や手術によるストレスや、入院生活の影響によって、睡眠障害・うつ病・不安障害などの精神的な後遺症が残る場合もあります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫の予後は、症状の重篤度や治療の適切さなど、多くの要素によって影響を受けます。そのため早期の診断と治療が重要であり、患者自身も症状の早期発見・医療機関での適切な治療を受けることが大切です。 後遺症が残った場合でも、早期のリハビリテーションやストレスマネジメントなどで、後遺症を改善することが可能です。治療後も定期的な検査やフォローアップを受けることで、再発や後遺症の予防にもつながります。