ドラゴンボール作者・鳥山明さん急逝、死因の「急性硬膜下血腫」の原因・症状を医師が解説
急性硬膜下血腫の検査や治療
編集部: 急性硬膜下血腫が疑われるときに行われる検査は? 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫ではCT検査とMRI検査が一般的に行われます。以下でそれぞれについて詳しく解説していきます。 1つ目のCT検査は、最も一般的な急性硬膜下血腫の診断方法であり、高精度で迅速な診断が可能です。CT検査は頭蓋骨内のX線像を数多く撮影し、パソコンで三次元的な画像を生成するもので、異常腫瘤と異常血管や血流量の増減を確認できます。 2つ目のMRI検査(磁気共鳴画像法)は、CT検査よりも高い解像度で、組織の柔らかい部分の検査に適しています。MRI検査は磁気を利用して、脳の内部構造の詳細な画像取得が可能です。硬膜下血腫の診断にも使用されていますが、CT検査に比べて撮影に時間がかかるため、緊急性のある診断にはあまり使用されません。また、脳血管撮影検査が行われる場合もあります。 脳血管撮影検査は、異常な血流量・血流速度・血管の形状を調べられ、硬膜下血腫の診断に役立ちます。血管造影剤を用い、X線装置で撮影された脳血管を詳細に調べられます。 編集部: どのように診断されますか? 甲斐沼先生: 急性硬膜下血腫は、CT検査やMRI検査などの検査結果と症状を総合的に評価し、診断されます。急性硬膜下血腫の症状は、急性の頭痛・意識障害・嘔吐・片麻痺・瞳孔異常(散大・対光反応遅延)などです。これらの症状と、患者の過去の病歴や現在の症状、脳神経検査などを総合的に評価して診断がなされます。 編集部: 治療方法を教えてください。 甲斐沼先生: 治療方法には3つの方法があります。 1つ目は手術です。急性硬膜下血腫の初期段階で発見され、症状が進行していない場合には、緊急手術が行われます。手術は病変部を肉眼で確認しながら、血腫を切開して除去することが可能です。病状の回復のためにも、可能な限り早期の手術を行うことが重要です。 2つ目は穿頭(せんとう)です。血腫発生部の穿頭を行い、硬膜下洗浄を行います。血腫の広がりや大きさによっては開頭手術が必要となりますが、穿頭の場合は、大きく開頭する必要がないのがメリットです。 3つ目に硬膜下ドレナージが挙げられます。硬膜下ドレナージとは、硬膜下血腫腔にドレーンを挿入し、体外へ血液を導く方法です。この方法は治療時間が短く、入院期間を短縮するのがメリットです。また、硬膜下ドレナージは手術や穿頭と併用して行われることもあります。 編集部: どのような方法で手術が行われますか? 甲斐沼先生: 手術は開頭血腫除去術と呼ばれる血腫を取り除く方法です。全身麻酔をかけた後、血腫の発生部の頭皮をメスで切開し、頭蓋骨を取り除きます。その部分から手術用顕微鏡を使用して血腫を除去します。一時的に取り外した頭蓋骨を戻し閉頭したら、手術が終了です。