人生で一度は訪れたい世界の遺跡ベスト24──ストーンヘンジ、ポンペイ、ピラミッド、三星堆etc.
古の文明を築いた人々の文化や慣習を映し出し、その社会構造や宗教観、生活様式を知るよすがとなる遺跡。その調査・発掘によって、そこに残されたものの歴史を辿るだけでなく、遺跡を築いた文明が時の流れの中でどう位置付けられるのかを解明できる。事実、これまで発見された数多くの遺物が今日の芸術や建築を予見させ、どの遺跡にも建造者の美意識や価値観を知る手がかりが残っている。 この記事でリストアップした遺跡のほとんどはユネスコの世界文化遺産に登録され、中には世界の七不思議とされているものもある。また、遺跡を築いた文明に関する唯一の手がかりである場合もあれば、古代の建造物の上に建設された現在のエルサレムのように、継続的に利用されてきた場所もある。 以下、世界で最も注目すべき24の遺跡の概要を紹介しよう。多くは一般公開されており、今日に至るまで歴史的・文化的な重要性を保ち続けている。
1. ストーンヘンジ(イギリス)
イギリスに数多くある「ヘンジ」(円形の土塁の内側に堀を巡らせた遺跡)の1つであるストーンヘンジは、巨石を並べた先史時代の遺跡だ。約5000年を経た今も残るこの構造物は、垂直に立てた巨石が円形に並べられた外側の部分と、馬蹄形に配置された内側の部分からなり、ところどころにそれより小さな石が散りばめられている。 民間伝承によれば、この石の構造物は巨人たちがアイルランドで組み立て、アーサー王伝説に登場する魔術師マーリンが魔法を使ってイギリスまで運んだという。また、デンマークからの侵略者によって建てられたという説や、ローマ時代の神殿跡という説もあるが、研究者の多くは新石器時代から青銅器時代にかけ、簡単な道具と限られた技術を用いて段階的に築かれたと考えている。 ストーンヘンジが何のために作られたのかはまだはっきりしないが、この遺跡を構成する巨石群は夏至と冬至の日の出の方向に合わせて配置されている。一番外側には、高さ約4メートル、幅約2.1メートル、重さ約25トンの縦長のサーセン石(砂岩の一種)が円形に並び、上に横長の石が乗っている。その内側にはブルーストーンが馬蹄形に配置され、いくつか並んだ垂直のサーセン石に横石が渡されている。 周囲から人骨が発見されていることから、ストーンヘンジは神聖な埋葬地、あるいは生贄を捧げる儀礼の場だった可能性が考えられる。ストーンヘンジとその周辺地域は、1986年に世界遺産に登録された(*1)。 *1 登録名は「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」。