「ビギナーはハイテクを選んではダメ」ランシュー初心者が知るべき4つの条件とオススメモデルをプロが伝授!
箱根駅伝やニューイヤー駅伝の影響もあり、巷でもハイテクランニングシューズは話題となっているが、これから走り始めようとしているランニング初心者はそういったシューズを選ぶべきではない。本稿ではランニング初心者が選ぶべきシューズを5モデル紹介する。 ランニング初心者が選ぶべきシューズ5モデルの詳しい写真をもっと見る
ビギナーが選ぶべきシューズの特徴とは?
1.着地衝撃吸収性に優れていること 歩行時の脚部にかかる衝撃は体重の1.2~1.5倍程度なのに対し、ランニング時のそれは体重の3倍程度といわれている。それだけに脚力の充分でないランニング初心者が選ぶべきシューズは着地衝撃吸収性、すなわち優れたクッション性を持っていることが不可欠。 2.安定性に優れていること 上級者向けシューズは着地してから素早く蹴り出せるように、安定性はそれほど重視しされていない。その点、初心者は着地にぐらつきが感あるとケガや故障の原因となるので、安定性に優れたシューズを選びたい。 3.足にフィットしたシューズを選ぶこと 幅が広い、甲が高い、踵が狭いなど、人間の足の形状は千差万別。それだけに足とシューズのフィットはとても重要なので、購入するときは必ず試し履きをしたほうがいい。一部のモデルは足長だけでなく、ワイドタイプなどできるので適したものを選ぼう。 4.適度な反発性があること ランニング初心者にとって最も重要なのは脚部の保護性能だが、それだけを重視したシューズで走っていると、ランニングの楽しさを感じられないのも事実。保護性能にプラスして適度な反発性能も備えたシューズのほうがモチベーションをキープできる。
ビギナーが履くべきシューズはコレ!
【その1】トータルバランスに優れたお買い得な1足 アディダス スーパーノヴァ ライズ 1万5400円(税込) 日本のランニングシーンにおいて、アディダスのランニングシューズで真っ先に想起されるのは「アディゼロ」シリーズで間違いないであろう。一方で初心者にとってアディゼロシリーズはハイスペック過ぎるところもあったが、「スーパーノヴァ ライズ」は、クッション性、安定性、反発性の絶妙なハーモニーにより、ビギナーから中級のランナーまであらゆるレベルのランナーに対応してくれる。 ミッドソールには、新フォーム素材のDREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)を採用。これはアディダスのハイパフォーマンスシューズに採用されているLIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)にインスパイアされ、さらなるアップデートを施して開発された素材で、より効率的に着地衝撃を緩和できるようになった。加えて、アウトソールにEVA素材の「サポート ロッド システム」を組み込んでいるのも大きな特徴。これはランニング中の足の動きから着想されたテクノロジーで、高いサポート性と着地から蹴りだしまでのスムーズな体重移動を絶妙に両立している。 個人的にもアディダスのスーパーノヴァ ライズは2024年に最も履いた回数の多いランニングシューズのひとつ。トータルバランスに優れた1足なので、何度履いて走っても飽きがこなかった。1万5400円(税込)というリーズナブルなプライスもうれしい。 【その2】前作譲りの優れた走行性能に安定性をプラス ニューバランス フレッシュフォーム エックス 1080 v14 1万9800円(税込) ニューバランスの1080シリーズは、初代モデルが2011年に登場して以来、同ブランドを代表するランニングシューズのひとつとなった。着地時に脚が極端に内側に倒れ込むことのないニュートラルランナーに向くモデル。前作「フレッシュフォーム エックス 1080 v13」は、柔らかいミッドソールを採用することにより、フワフワした走行感で大ヒットした。 大ヒット映画の続編が期待外れに終わることも少なくないが、今作はどうなのか……? 「フレッシュフォーム エックス 1080 v14」は、そんな不安を払拭するような完成度。単一フォームに凸凹のハニカム構造を融合させ、フレッシュフォームのミッドソールの硬度が上がったことで、特に着地安定性が大幅にアップ。前作はミッドソールの柔軟性を強調するために、中級以上のランナーからは「もう少し安定性があれば……」という声も聞かれたが、カチっとした着地安定性を提供することに成功しており、実際に履いたシリアスランナーからの評価も高い。ビギナーで特にクッション性と安定性を求めるランナーには特にオススメしたい1足だ。 【その3】昔ながらのベーシックな走り心地が嬉しい ブルックス ゴースト16 1万7600円(税込) 各ブランドがランナーを効率よく、楽に走らせるための機能競争をエスカレートさせることにより「最近のランニングシューズは目新しい機能を付けすぎて自分の足で走っている気がしない!」という声を聞くようになった。そのような状況で、いい意味で昔ながらの走り心地をキープしているのが、ブルックスの「ゴースト16」だ。ゴーストは、ブルックスというブランドのみならず、ランニングシューズ業界全体でもベストセラーの一角を占めるほどの人気シリーズ。あらゆるレベル、様々なタイプのランナーに対応してくれる汎用性の高さでも知られている。 第16弾となる今作は、ミッドソール素材に液化窒素ガスを混ぜ、臨界発泡させて成型したミッドソール素材「DNALOFT v3」を採用。これまでの同シリーズよりもソフトな走行感にアップデートされているほか、同シリーズ特有のバランスの取れた走り心地はしっかりとキープされている。一方、ミッドソールの硬度は柔らかくなったが、無駄な沈み込みはないので、安定性はしっかりと確保。最近トレンドのフワフワとした感触のシューズもいいが、初心者には走りの基本を習得しやすいゴースト16のようなトラディショナルなモデルもオススメだ。 【その4】シーズン毎に機能性アップを続けるロングセラー ミズノ ウエーブライダー28 1万6500円(税込) ランニングシューズ業界でも屈指のロングセラーとなっているのが、ミズノのウエーブライダー。第28弾モデルは、ミッドソールをボリュームアップかつ硬度を柔らかくすることで、クッション性を強調した走り心地となっている。ミッドソールはMIZUNO ENERZYとMIZUNO ENERZY NXTを組み合わせることで、前作より反発性が15%、クッション性を20%向上させることに成功。それでいてウエーブプレートがミッドソールに内蔵されていることで、走行安定性も疎かになっていない。 以前からウエーブライダーを履いてきたランナーからすると、「ウエーブライダーなのに随分とボリューミーになったなぁ……」と思うかもしれないが、ウエーブライダーらしさはしっかりとキープしている。軽量性を追求することで「一昔前のランニングシューズと比較すると、どのブランドのシューズもアウトソールやミッドソールの耐久性が落ちたのでは⁉︎」という声を聞くことも増えたが、このウエーブライダー28の耐久性は心配なし。そういった意味では1足のシューズで、できる限り長い期間走りたいというランナーにも最適なセレクトとなるだろう。 【その5】長い距離を楽に走りたいランナーに最適 ヨネックス カーボンクルーズXR 1万9800円(税込) ヨネックスといえばバドミントンやテニスのイメージが強く、「ランニングシューズを展開しているの⁉︎」と驚く人も少なくないだろう。しかしながら、最近リリースされたプロダクトは、多くのランナーから支持され、その走行性能が評価されている。 今秋リリースされた「カーボンクルーズXR」もそのひとつ。ミッドソールにヨネックス独自開発の衝撃吸収反発素材「パワークッション プラス」を内蔵。ミッドソールの厚さが40mm以上という厚底クッション設計により、高い保護性能を実現するとともに、フラット形状のカーボンプレート「3Dパワーカーボン」を組み合わせ、筋肉負担軽減と優れた走行安定性を実現している。超厚底ながら安定性もしっかり確保しており、クッションによる高反発を好み、デイリーランやフルマラソンを思い切りエンジョイしたいというランナーに最適な1足。その快適な走行感により、ランナーに「いつまでも走っていられる!」と思わせるプロダクトとなっている。 ラケットスポーツで培ったカーボン加工技術をランニングシューズにも応用したカーボンクルーズ XR。初心者のランニングを、より一層楽しいものとしてくれるのは間違いない。
南井正弘