五反田TOCビル、異例建て替え延期の舞台裏 再開発「漂流」相次ぐ
テーオーシーは計画の見直しに当たり、投資効率向上のため分譲マンションを併設する計画の追加を示唆している。22年4月公表の当初予定では、大規模オフィスを計画の中心に据えていたが、方向転換した。 船井総合研究所の建設・不動産支援本部・鶴田隼人副本部長は「リモートワークの影響でオフィス需要が減っている」と指摘する。コロナ禍以降、オフィス賃料相場は低調な傾向が続く。 ●漂流する再開発プロジェクト こうしたトラブルはTOCビルに限らない。あらゆる再開発計画が建設コスト上昇の打撃を受けているのが実情だ。今回、日経ビジネスが調査したところ、中野サンプラザや国立劇場、江戸川区庁舎の建て替えやDeNAによる川崎市の新アリーナの建設など、首都圏で計画の延期や見直しといった状況に陥るプロジェクトが頻発している事実が浮き彫りになった。 漂流する建設プロジェクトが多発するという異常事態は、何を意味しているのか。(次回、国立劇場閉場1年、再開発が暗礁に 歌舞伎・中村萬壽氏「伝統芸能の死活問題」に続く)
齋藤 英香