珍しいロフト角の『242CB+』 ハンディ0のベテランが感じたその意図とは?
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。 『242CB+』はそんなところが空洞に!? 『241CB』との比較も! ブリヂストンスポーツの『242CB+』は、2024年9月6日に発売。“やさしさと飛びをプラス。軟鉄鍛造のスタンダードアイアン。”というコピーです。もう一つ、新しいBシリーズのアイアン(『241CB』が同時発売)と込みで、“快芯の鍛造”というコピーもあります。 『242CB+』は、バリバリのツアーモデルの『241CB』と組み合わせて使うコンボセットにしたときに違和感が出ないよう、ヘッドの大きさもセミラージの最小限に抑えて、フェースもツアーユースに耐え得るように仕上げました。その結果、本格派のゴルファーも満足させつつ、安心感もある新しいツアーアイアンになったのが『242CB+』の特徴です。 凄いのは、「インナーポケット構造」です。ヘッドの下部は中空にして、フェースの下部に穴が空いた状態でヘッドを作ります。穴の中央には「リブ」が設置されています。その穴を塞いでフェースの加工をしているそうです。約20グラムの余剰重量が生まれたので、最適な重心になるように番手ごとに設計しています。この構造で『242CB+』は、ミスヒットをカバーする圧倒的な機能を持つと期待させます。 4番と5番は、ソールに穴を開けてタングステンウェイトを入れて蓋をしています。低重心化することで、ボールの高さを上げています。 そして、バックフェースの膨らみに注目です。打点の後ろ側にボリュームを出すのは、ツアーモデルのトレンドになりつつあります。打感を良くするのが狙いです。 「ツアーコンタクトソール」という新しいソールになりました。『242CB+』は、「ラウンドタイプ」のソールになっていて、平らではなく丸みを帯びています。ソールを滑らして打つゴルファーには最適なソールですが、計算されているので、打ち込んでも抜けが良さそうです。 面白いのはロフト角で、7番で31度です。クラシックなロフトのアイアンより3度立っているのは、ほぼ1番手(通常は4度違う)の飛距離のアドバンテージがあると言えるのです。4度立てて、7番アイアンを30度にするのが一般的になりつつある今、どうして31度なのか? こだわりがありそうで楽しみになります。 『242CB+』は、ツアーアインにやさしさと飛びをプラスしたアイアンです。本当にそんなに上手く行くのでしょうか? 試打が楽しみになりました。試打した日は、薄曇りで、気温は24℃~29℃。やや風あり、でした。ボールは、使い慣れていて、クラブの影響に集中できるので『TOUR B X』を使用しました。 【打感・打ち応え】 『242CB+』の打音ですが、音量は少し大きめ。音質は硬質な音と濡れた鞭系の音のミックスで心地良き音。打ち応えは、乗り感があるけれど軽め。手応えは、クリアな芯感で敏感です。 【弾道・球筋・スピン】 『242CB+』の弾道は、高弾道です。ストレート系のボールが得意で、強振しても左に行きにくいところはプラス評価です。スピンはツアーモデルらしくその場で止まろうとします。 【距離性能】 『242CB+』は、クラシックなロフトのアイアンより約1番手飛ぶ計算ですが、それより少し飛ばないと感じました。半番手と少し飛びますが、むしろ、同じ距離を安定して打てるやさしさを強く感じて感心しました。 【ロマン派ゴルフ作家語る】 『242CB+』は、予備知識がなかったら普通にツアーキャビティアイアンだと思うほど、本格的だと感じさせる部分が上手く出来ていて、アピールもしてきます。個人的には、ヘッドが大きすぎず、小さすぎず、ちょうど良い感じがして快感でした。 とはいえ、ソールはかなりの幅があり、下部が中空になっているからだと分かれば納得ですが、見た目の安心感もあるのです。このソール幅で、本格的なモデルは市場にはほぼないので、欲しかったと感じるゴルファーはいると推測しました。 打ってビックリしたのは、期待していたほど飛ばなかったことです。ボールが楽に上がるミドルアイアンは扱いやすく、ショートアイアンはミスしても狙い所にまあまあ行くというやさしさはあるのですが、その中に、飛ぶという意味の飛距離は入ってきません。 ただ、数ホールをプレーしていて分かってくるのです。スコアにやさしいアイアンというのは、安定性の高さこそがカギになると。3度ロフトが立っている意味は、安定性を犠牲にしないギリギリを狙った結果だと思ったのです。 『242CB+』は、小細工なしで、キッチリ振って狙っていくゴルファーにオススメです。オートマチックに安定することで、スコアに良い影響があることが実感できると思います。 総じて、パワーヒッターのほうがより楽に使える感じがして、『242CB+』はツアーアイアンなのだと思います。僕のヘッドスピード40m/sでも十分に機能しますが、飛距離が出ないことがスコアメイクの致命傷になってしまうコースを相手にする場合は厳しいかもしれません。 『242CB+』が『241CB』よりやさしく扱いやすいのは主にミドルアイアンで、ショートアイアンは短くなるほどあまり差が出ません。ソールの好みというか、相性のようなもので、2つのアイアンが著しく違うと感じるゴルファーもいると思いますが、非常に少ないと推測します。 個人的には、どちらかを選ぶとすれば『242CB+』かな、と考えました。アドレスで狙ったところに難なく構えて、打ち出すスイングの再生力があれば、アイアンの仕事である距離を打ち分ける部分はやってくれる感じが気持ち良かったからです。 ツアーアイアンが二種類同時に発売されるときには、かなり違うものであることもあれば、あまり差がないこともあります。『242CB+』と『241CB』は、後者です。差がないときには、上位機種を選ぶことが多いのが購買心理だと思いますが、この新しい『B シリーズ』のアイアンの場合は、迷ったら『242CB+』だと思います。前者の『241CB』は、ほぼマッスルバックのようなアイアンだからです。 『242CB+』も、アイアンに苦手意識がなく、自信がなければ、簡単にやさしいとは言えないレベルのクラブですが、いわゆるツアーキャビティとしての完成度は高いのです。 何より、最大のオススメのポイントは、本格的でありながら、曲がりの心配をあまりしないで済むということです。そういうアイアンは市場にないので貴重です。『242CB+』は、普通に打てるのは当たり前、打感などの余韻を味わって、それをスコアに活かしていくアイアンなのです。 【試打ギアスペック】 『242CB+』 ヘッド素材 #4、#5 軟鉄(S25C) + タングステン #6~PW 軟鉄(S25C) ロフト #4/21度、#5/24度、#6/27度、#7/31度、#8/36度、#9/41度、PW/46度 シャフト N.S.PRO MODUS3 TOUR105 (S) 【著者紹介】篠原嗣典 ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」 ◇ ◇ ◇ ●手のヒラを擦る? 目を閉じてその場で足踏み? 川崎志穂がイップスを克服できた不思議な理論で、あなただけのアドレスを見つけよう! 関連記事「【診断】あなたのアドレスは本当に合っている?」では、アドレス診断を一挙公開中!