「どんな形でも、やれることは全力でやる」バレー女子五輪代表”最強の13人目”の選手 メダル獲得へ、引退する主将を勇気づけたひと言
女子バレー五輪代表の山岸あかね、サポート役に徹し下支え
パリ五輪に出場しているバレーボール女子日本代表に、“最強の13人目”として帯同しているのが、長野県須坂市出身の山岸あかね選手(33)=埼玉上尾・東海大三高―東海大出=だ。「選手のみんながベストパフォーマンスを出せるように、自分のやれることをやる」。サポート役に徹し、メダル獲得を目指す日本を下支えする。
真鍋監督「必要な最後のワンピース」
「山岸しかいない。必要な最後のワンピース」。今月1日の代表発表会見で、真鍋政義監督(60)は熱を込めて報道陣に語った。山岸選手は、代表選手がけがをした場合の交代要員。指揮官が評価したのは「見えない力」だ。ムードメーカーの山岸選手はチームに不可欠だと判断した。
年齢の壁を取っ払って交流
ベテランの域に入り、山岸選手は「(年下は)しゃべりかけにくいと思い、自分から話しました」。年齢の壁を取っ払って交流。パリ五輪を懸けた5月からネーションズリーグでリザーブ(補欠)に回ったが、試合前には同じリベロの選手たちを鼓舞した。
「特別なことはしていないけれど」
日本が銀メダルを獲得した際の記念撮影では、その日不在だった山岸選手のユニホームが掲げられた。自身は「特別なことはしていないけど」と苦笑いだが、Vリーグの埼玉上尾でもチームメートの岩崎こよみ選手(35)は「そばにいるだけで安心感がある。選手一人一人を見て声を掛けられるし、チームに欠かせない存在」と語る。
引退決めた古賀紗理那主将が信頼
中でも山岸選手を心の支えにするのが、今大会限りで現役を引退する古賀紗理那主将(28)だ。代表活動の宿はほぼ同室。古賀主将は「いろんな話をして支えてもらった。本当に感謝しています」。試合前には2人が好きな人気ロックバンド「Mrs.GREENAPPLE(ミセス・グリーン・アップル)」の曲を一緒に聞き、気持ちを高めることも多かったという。 今大会の目標である「メダル獲得」は古賀主将が言い出した。他の仲間より先に伝えられたのが山岸選手だった。「いいと思う!」。信頼する山岸選手のひと言に勇気をもらった主将は周囲にも「メダル獲得という目標は胸を張って言っていい」と熱弁。チームは結束を強めている。
「やれることを全力でやる」
日本は28日の初戦でポーランドに逆転負け。8月1日に迎える2戦目でブラジルと戦う。交代要員の山岸選手は非常時に備え、リベロとしても入念な準備を欠かさない。その一方で自分に求められている役割もと理解している。「どんな形であれ、必要とされるのはうれしい。メンバーにはバレー以外に気を使わせない。ここに来られなかった仲間の分まで自分のやれることを全力でやる」。