免税事業者に新規発注を「原則しない」が2割 制度前からの免税事業者との取引は9割が「変化なし」
Q3.インボイス制度導入後、制度導入前から取引している免税事業者への発注量はどうしましたか?(択一回答)
◇発注量に変化なしが91.0% 導入後の免税事業者への発注量について、「制度導入前と変化はない」が91.0%(4,118社中、3,748社)で、発注価格と同様に9割が変化なかった。 一方、「発注量を抑制している」が7.0%(291社)、「発注を止めた」が1.6%(66社)で、8%強が発注の減少や取引を止めている。「発注量を増加させた」は0.3%(13社)と僅少にとどまった。 規模別では、発注量が「変化なし」は大企業が93.8%(440社中、413社)、中小企業が90.6%(3,678社中、3,335社)だった。「発注量抑制」と「発注を止めた」は大企業が5.4%(24社)だったのに対し、中小企業は9.0%(333社)と発注価格と同様に中小企業の方が免税事業者との取引量を減らしている。
「抑制」「発注を止めた」娯楽業が最高
発注量を産業、業種別で分析した。 産業別では、「変化なし」が最も高かったのは運輸業の96.8%(158社中、153社)だった。次いで、金融・保険業の96.4%(28社中、27社)だった。 発注の「抑制」、「止めた」は、業種別(母数10以上)では、娯楽業が25.0%(16社中、4社)が最も高く、広告業の24.0%(25社中、6社)、織物・衣服・身の回り品小売業の20.0%(10社中、2社)と続く。 ◇ ◇ ◇ インボイス制度が始まり、8カ月が経過した。公正取引委員会によると、2023年度は67件にインボイス制度の取引条件の再交渉のほか、価格転嫁の要請などの優越的地位の乱用に該当するおそれから注意を行った。その中では、広告業・娯楽業等が39件で最も多かった。事例では、「課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合、消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で伝える」など一方的に通告していたケースが指摘される。 免税事業者からの課税仕入れは、制度開始後3年間は仕入税額の8割、その後の3年間は5割の控除ができる。だが、制度開始後は、原則発注しなかったり、発注を辞めたとの回答も一部にあり、制度の理解促進と免税事業者へのきめ細やかな支援が必要となっている。