免税事業者に新規発注を「原則しない」が2割 制度前からの免税事業者との取引は9割が「変化なし」
産業別 「原則発注しない」は金融・保険業が最も高率
免税事業者への新規発注の対応について産業別で分析した。「特に条件を定めず発注」が最も高かったのは、農・林・漁・鉱業の66.6%(36社中、24社)。次いで、サービス業他61.2%(751社中、460社)、製造業57.9%(1,381社中、800社)、不動産業57.0%(114社中、65社)が続き、最低は建設業の52.7%(681社中、359社)だった。 一方、「原則発注しない」は、最高が金融・保険業の31.4%(35社中、11社)。次いで、卸売業25.0%(1,088社中、272社)、運輸業22.4%(196社中、44社)、情報通信業22.0%(281社中、62社)と続く。最も低かったのは、農・林・漁・鉱業の5.5%(2社)だった。 業種別(母数10以上)では、「条件を定めず発注」は、窯業・土石製品製造業の76.9%(52社中、40社)が最も高く、映像・音声・文字情報制作業の76.1%(21社中、16社)、政治・経済・文化団体の76.0%(25社中、19社)が上位に並んだ。 一方、「原則発注しない」は、保険業の43.7%(16社中、7社)が最も高かった。次いで、洗濯・理容・美容・浴場業の42.8%(14社中、6社)、機械等修理業の40.0%(20社中、8社)が続いた。自動車整備業や各種商品小売業、飲食店など個人客向けの取引が多い業種が上位に入り、免税事業者との取引に消極的だった。
Q2.インボイス制度導入後、制度導入前から取引している免税事業者への発注価格はどうしましたか?(択一回答)
◇「変更なし」が92.2% 制度導入後の免税事業者との取引に際し、発注価格の変化について尋ねた。 最多の「制度導入前と変更はない」が92.2%(4,065社中、3,748社)だった。また、「取引単価を引き上げた」は5.1%(208社)に対し、「取引単価を引き下げた」も2.6%(109社)あり、価格交渉を行った企業も一部でみられた。 規模別では、「変更なし」は大企業が95.6%(435社中、416社)、中小企業が91.7%(3,630社中、3,332社)で大企業が3.9ポイント上回った。「単価引き上げ」は大企業が3.2%(14社)にとどまり、中小企業は5.3%(194社)で中小企業が2.1ポイント上回った。 一方、「単価引き下げ」は大企業が1.1%(5社)に対し、中小企業は2.8%(104社)と価格交渉などで単価を引き下げた比率は中小企業が高い回答率だった。 産業別では、「単価引き下げ」が最も高かったのが、「金融・保険業」の7.4%(27社中、2社)だった。